2002 Fiscal Year Annual Research Report
負性電子親和力表面の電子放出機構と高輝度エミッターの作成
Project/Area Number |
13650027
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Research Institution | Faculty of Engineering, Kobe University |
Principal Investigator |
本郷 昭三 神戸大学, 工学部, 助教授 (00029232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦野 俊夫 神戸大学, 工学部, 助教授 (40107983)
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Keywords | ダイヤモンド / セシウム / バリウム / 電子エミッション / 負性電子親和力 / NEA / MDS / TDS |
Research Abstract |
1)CVDダイヤモンド表面に吸着したセシウムの酸化過程を研究した。その酸化過程はシリコンやガリウム砒素表面に吸着したセシウムの酸化と同じで酸化が進むに従って亜酸化物、過酸化物、超酸化物とその形態を変え超酸化物で安定となる。 2)表面にセシウムを吸着させたシリコンやガリウム砒素は酸素暴露により基板のシリコンやガリウム砒素が酸化されるのに対して、セシウムを吸着させたダイヤモンドでは基板であるダイヤモンドは酸化が進まない。 3)その結果負性電子親和力表面からの電子放出の妨げとなる障壁層が形成されないので、セシウムを吸着したダイヤモンド表面を大気に曝した後も安定した電子放出が得られた。この事は実用面で大変有用な結果である。 4)1と同様にCVDダイヤモンド表面に吸着したバリウムの酸化過程を研究した。その酸化過程はシリコン上に吸着したバリウムの酸化と基本的に同じである。バリウム吸着による仕事関数の減少もセシウムの場合とほぼ同じで、負性電子親和力表面として有望である。 5)CVDダイヤモンド表面に吸着したバリウムの昇温脱離分光による研究から、バリウム層は約400℃まで安定であり、電子エミッターとして利用する場合の温度上昇を考えると、これも実用上有用な結果である。 6)セシウムを吸着させたダイヤモンド表面の電子エミッションを測定した。エミッションのスレシュホールドは0.8V/μm、エミッション電流は15V/μmで2μA/mm^2が得られ、時間的にも安定で、対電極にITO(導電性ガラス)を用いてその蛍光を確認した。セシウムを吸着させたものは大気に曝した後も僅かの減少はあるがほぼ安定であった。
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