2002 Fiscal Year Annual Research Report
CrO_2膜における磁気抵抗のエキゾチックな階段状磁場変化の解明
Project/Area Number |
13650034
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Research Institution | Miyagi National College of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 勝彦 宮城工業高等専門学校, 総合科学系理数科, 教授 (80187715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 真 宮城工業高等専門学校, 総合科学系理数科, 教授 (40042262)
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Keywords | 二酸化クロム / 磁気抵抗 / 抵抗の温度変化 / MFM / トンネリング |
Research Abstract |
電気抵抗の温度変化を32K〜300Kの温度範囲で電流値(0.1mA〜2mA)を変えて測定し、下に凸の温度変化が見出された。その結果を活性化トンネリングモデルを想定して解析したところ、活性化エネンルギーEaの異なる2つの領域が存在することが見出された。高温側(約60K〜100K)でのEaの電圧換算値は約800μV、低温度側では約400μVであった。しかし、低温度側で電流依存性が見出され、1mA近傍で極小を示す傾向が見出された。 磁気抵抗に階段状の変化が見られ、その飛びの値の電圧換算値は低磁場で約800μV、高磁場で約400μVであった。これらの値は電気抵抗の温度変化から見積もられた高温側と低温側のそれぞれのEaの電圧換算値と一致している。 熱励起した電子がグレイン間でトンネリングする以外に、CrO_2はハーフメタルのため少数スピンバンドに存在するバンドギャップのため磁区間で島状態が発生する可能性が考えられる。活性化エネルギーは比誘電率と島の平均半径に強く依存する。ハーフメタルに起因する島の平均半径は低温度でのMFM観察結果では単磁区になっていないので、小数スピンバンドに由来する比誘電率が1以上であることを考慮しても、ハーフメタルに起因する活性化エネルギーにグレインに起因するものより大きくなると考えられる。したがって、熱励起の大きさ、電子の平均自由行程も考慮すると、高温側の活性化エネルギーはハーフメタルに由来する島間のトンネリングに起因し、低温側のものはグレイン間でのトンネリングに起因するものであると考えられる。したがって、低磁場での飛びはハーフメタル特有のバンド構造によって作られたアイランドが磁場によって崩壊する時に発生するもので、高磁場での飛びは磁場により抵抗が減少するにつれ印加電圧が変化するが、ちょうどグレン内と最近接グレン同士の電位が活性化エネルギーに一致した時にトンネル電流が増大して生じるものと考えられる。0.3Tまでの磁場でMFM測定と磁気抵抗を同時測定し、磁気抵抗の飛びと磁区の関係を調べたが、今のところ両者が関連するデータは得られていない。
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