2001 Fiscal Year Annual Research Report
自然物の色域の高次元多面体表現とそのカラー入力機器設計への応用
Project/Area Number |
13650038
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
羽石 秀昭 千葉大学, 工学部, 助教授 (20228521)
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Keywords | 分光的色域 / 凸多面体 / メタメリズム / SOCS / 主成分分析 / カラー入力機器 / 分光反射率 / 視覚特性 |
Research Abstract |
本研究では,物体の色が数個の主成分で精度よく表現できるとの知見に基づき,数個の主成分ベクトルが張る部分空間において,色の存在範囲すなわち色域を多面体により表現し,多面体の頂点を与える分光反射率や最外郭を与える超平面パッチのリストを与えることを目的として研究を行った.具体的には以下の2点である. 1.分光空間での多面体を求めるアルゴリズムの完成 分光反射率サンプルのn個の主成分ベクトルが張る部分空間において,色域が凸面をなすような最外郭のサンプルを求めるアルゴリズムを完成させた. 2.メタマー集合を算出するアルゴリズムの作成 光源の分光反射率および観測者あるいはカラー入力機器の分光感度特性を与えたときに,メタマー集合もまた凸形状をなす.この頂点の分光反射率を計算するためのアルゴリズムを開発した.さらにこれらメタマー集合が他の光源あるいは他の分光感度特性の下でなす測色値の分布を求めるプログラムを開発した. 以上の研究遂行により,任意の光源下での物体の色域を容易に求めることが可能になった.また,人間の視覚系や一般的な3バンドカラー入力装置において,同一の応答を示す分光反射率の集合(メタマー集合)を実際に存在しうる範囲に特定できるようになった. SOCSと呼ばれる自然物の分光反射率のデータベースを用いて,種々の照明下でのメタマーの範囲を本手法により計算したところ,目視で顕著に認識できる程度の色差が生じうることがわかり,照明変換後の色の予測を行う場合には,3バンドを超えた,マルチバンドイメージングが必要であることが示唆された.これらの研究は2つの国際会議で発表し,その成果が認められた.
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