情報数理と統計力学の融合的アプローチによる自己組織化臨界現象の統一論的研究

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13650062
• Research Institution: Chiba University
• Principal Investigator: 松葉 育雄 千葉大学, 工学部, 教授 (30251177)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 須鎗 弘樹 千葉大学, 工学部, 助教授 (70246685) ; 腰越 秀之 千葉大学, 工学部, 助教授 (70110294) ; 河原田 秀夫 千葉大学, 工学部, 教授 (90010793) ; 水藤 寛 千葉大学, 工学部, 助手 (10302530)
• Keywords: 自己組織化 / フラクタル / ニューラルネットワーク / くりこみ群手法

Research Abstract

従来の研究から,ミクロな支配法則に基づいてエネルギー等の保存則が成立すればべき関数で表されるマクロな物理量が現れることが明らかにされてきた.しかし,散逸系はもちろん社会現象のように明確な保存則が存在しない場合にも,情報論的立場から自己組織化臨界現象の説明は可能である.本研究の目的は,統一的な手法の確立を目指して,その第一歩としてくりこみ群手法,フラクタル手法等の利用して,なぜミクロな法則が異なるにもかかわらず,マクロな状態で自己相似現象が現れるのかその理由を明らかにすることである.特に,従来は静的な挙動が注目されていたが動的な特徴を含んだ形で拡張する.以上の目的のため,平成13年度は主に,計算機環境の整備,統一的理論的研究の準備段階として,地震モデル,脳波研究のためのニューラルネットワークモデルなど具体的な対象を取り上げ,自己相似現象の研究に取り組んだ.特に複雑系の研究では始めて導入することになる情報論的研究の準備も兼ねる.脳波の自己相似現象を解析するため,ニューラルネットワークモデルを導入し,くりこみ群手法およびフラクタル手法により自己相似解を求め,自己相似現象の理論研究を行った.また,個別現象の数値実験のため,地震研究のためのセルラオートマタモデル,脳波研究のためのニューラルネットワークモデルに基づき,購入予定のワークステーション上で大規模シミュレーションを実行するための環境を整備した.

Research Products

• [Publications] Y.Kamitani, H.Suyari, I.Matsuba: "1/f fluctuation derived from the coarse-graining method for a neural network model"Proceedings of Inter. Joint Conference on Neural Information Processing(ICONIP2000). (2000)
• [Publications] Y.Kamitani, I.Matsuba: "Non-linear model that exhibits 1/f spectra"Proceedings of International Symposium on Nonlinear Theory and its Applications. 1. 31-34 (2001)
• [Publications] Y.Kamitani, I.Matsuba: "Neural Networks in three dimensions displaying 1/f spectra"Proceedings of Inter. Joint Conference on Neural Information Processing (ICONIP2001). 2. 627-631 (2001)
• [Publications] 神谷良信, 須鎗弘樹, 松葉育雄: "ニューラルネットワークモデルの粗視化による脳波の1/fスペクトルの導出"電子情報通信学会論文誌. J84-A,No.9. 1148-1156 (2001)
• [Publications] I.Matsuba: "Renormalization group approach to earthquake scaling"Chaos, Solitons & Fractal. 13/6. 1281-1294 (2002)
• [Publications] 神谷良信, 松葉育雄: "しきい値作用を持つ相互作用系の自己組織化とスケーリング特性"電子情報通信学会ニューロコンピューティング研究会, 電子情報通信学会技術研究報告. 25-31 (2001)