2001 Fiscal Year Annual Research Report
ウェーブレットに基づいたウィグナー分布型信号検出器開発の基礎研究
Project/Area Number |
13650067
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
大住 晃 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (70027902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 祐一 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (80273548)
大瀬 長門 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 講師 (70027928)
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Keywords | 時間-周波数解析 / 擬似ウィグナー分布 / 最尤推定 |
Research Abstract |
本研究では,不規則雑音をうけて計測されるセンサー信号の検出と受信されるべき信号のパラメータの推定問題に関する研究をおこなった. 本年は初年度にあたり,まず問題設定として信号の形状は既知であり,その遅れ時間,伸縮パラメータは未知であるとした.また,観測データには信号の伝送途中に何らかの不規則雑音が介在するとして,この雑音に埋もれた観測データより信号のパラメータの推定を行う新しい手法を開発した.本手法の概要は以下のとおりである.信号の伸縮パラメータが周波数によく反映されることから,近年信号処理分野で注目されている時間-周波数解析を前処理として用いた.時間-周波数解析では,ウイグナー分布をはじめ多種多様な手法が提案されており,いずれの手法でも本研究に用いることが可能であるが,本研究では比較的計算時間が短く,時間解像度の高い擬似ウィグナー分布を用いた.不規則雑音に埋もれた観測データの時間-周波数分布関数は時間と周波数の2軸に対して確率場を形成するため,その確率場に対する尤度関数を求め,それを最大にすることによって未知パラメータを同定する手法を開発した.尤度関数を構築するにあたっては,擬似ウィグナー分布関数の統計的性質が必要となる.雑音を正規性白色雑音としてこの統計的性質を理論的に導出し,それを本手法に用いた.本手法の有効性を確認するためにいくつかのシミュレーションを行なった.信号として1周期正弦波,ガウス包絡線を持つ正弦波,周波数変調信号(チャープ信号),矩形波を用いたが,いずれの信号に対しても本手法の有効性が示せた.本手法は,前処理として観測データを時間-周波数分布関数に変換するため,従来の相関法よりも誤差が少なく高い雑音レベルに対してもタフな推定手法であることが確認できた. 次年度は,提案した手法に対する繰返し推定アルゴリズムの開発を行い,推定値の性質を解析する.また磁気センサーなどによる実験での検証を行う.
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[Publications] A.Ohsumi: "The Enhanced Detector of Noisy Signals Using Pseudo-Wigner Distribution"Proc.5th WAES MULTICONFERRENCE ON Circuits, Systems, Communications & Computers(CSCC 2001). 42-47 (2001)
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[Publications] A.Ohsumi: "On a Signal Detector using Wavelet-based Quadratic Time-Frequency Distribution"Proc.5th WSES MULTICONFERENCE ON Circuits, Systems, Communications & Computers(CSCC 2001). 42-47 (2001)
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[Publications] A.Ohsumi: "Detection of Noisy Signanls Using Pseudo-Wigner Distribution"計測自動制御学会関西支部シンポジウム"計測と制御に見る21世紀の幕開け"講演論文集. 105-108 (2001)
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[Publications] 井嶋博: "雑音に埋もれた信号の擬似ウィグナー分布による検出"第44回自動制御連合講演会予講集. 204-207 (2001)