2002 Fiscal Year Annual Research Report
スパッタおよびイオン注入法で作製したマイクロマテリアルの動的特性評価
Project/Area Number |
13650090
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中佐 啓治郎 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80034370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 昌彦 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70274115)
西野 信博 広島大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70243590)
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Keywords | スパッタ / マイクロマテリアル / 動的特性 / ナノインデンテーション / 摩擦・磨耗 |
Research Abstract |
マイクロマシーンは、医用分野や狭隘・過酷環境中での微小作業を行う機械として、発展が期待されている。マイクロマシンを構成するマイクロマテリアル(MM)は、微小寸法で体積に比べて表面積が大きいため、接触摩擦抵抗、流体力学抵抗、吸着、ぬれ性、腐食などの表面特性が、マイクロマシンの運動特性に大きく影響する。また、空孔などの内部欠陥が、MM全体の制振、動作応答性などに大きく影響する。したがって、MMの表面特性および内部特性の制御を目的としたMMの開発と評価は、重要な研究課題である。 昨年度は、まず、チタン基材に、TiN薄膜をスパッタ蒸着した後、窒素イオン注入を行い、チタンの耐食性および耐水素ぜい性が大きく向上することを明らかにした。また、チタン基材にTiNおよびSiC薄膜を蒸着し、ナノインデンターを用いて皮膜に繰返し荷重を加えた結果、条件によっては、圧子変位が繰返しとともに減少することを見出した。さらに、ヘリコンスパッタ法によって作製したSiC皮膜は、アモルファスであり、はく離しにくく、弾性回復が大きく、通常の摩耗試験による摩擦係数はTiNに比べて非常に低い(DLCと同等)ことを示した。 本年度は、ヘリコンスパッタ法でSiCとTiを同時スパッタすると、あるTiの割合で、摩擦係数がDLC薄膜よりも大幅に低下することを見出した。また、スパッタ蒸着したアモルフォスSiC薄膜の繰返しナノインデンテーション試験を行い、繰返しとともに圧子変位が大きく減少すること、皮膜はく離の場所は圧子直下であり、TiN皮膜の場合と異なることを明らかにした。さらに、荷重速度が異なると、TiN薄膜の場合には変位の減少が小さくなるが、SiC薄膜の場合には、荷重速度に依存しないことを示した。また、金属、ガラス、セラミックスなどの繰返しナノインデンテーションによって得られる表面特性は、それぞれ大きく異なることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Dharma Raju: "Relation between delamination of thin films and backward deviation of load-displacement curves under repeating nanoindentation"Acta Materialia. Vo.51. 457-467 (2003)
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[Publications] T.Dharma Raju: "Backward deviation and depth recovery of load-displacement curves of amorphous SiC film under repeating nanoindentation"Acta Materialia. (掲載決定).
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[Publications] 加藤 昌彦: "AFMによるスパッタ薄膜の摩擦力測定"日本機械学会材料力学部門講演会講演論文集. No-02-05. 631-632 (2002)