2002 Fiscal Year Annual Research Report
結晶状態調整によるポリエーテルエーテルケトンのCFRTPの高温熱変形制御
Project/Area Number |
13650100
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宗宮 詮 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40051700)
|
Keywords | ポリエーテルエーテルケトン / 炭素繊維強化PEEK / 粘弾性 / クリープ特性 / 繊維充填効果 / 結晶効果 / スーパーエンジニアリングプラスチック / 耐久性 |
Research Abstract |
本年度の研究目的は,スパーエンジニアリングプラスチックのポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を母材とする炭素繊維強化プラスチックのクリープ特性に及ぼす繊維充填の効果および樹脂結晶化の影響を解明し,これら知見を基に耐クリープ特性の向上を図ることであった。 供試材料は,繊維混入率Wfが0%と20%の2種類の短炭素繊維強化PEEKである。PEEKは高結晶化材であるが,溶融直下の温度より急冷して準備した最低の結晶化度は33%となった。これを結晶化温度に再加熱し,保持時間を変え結果、結晶化度が33%から最大40%にいたる材料を得た。 次に80℃から150℃域の曲げクリープ特性を計測し,繊維の充填量と結晶化度の影響を調べた。樹脂およびCFRPの結晶化度33%及び40%の材料について,クリープコンプライアンスのマスター曲腺をそれぞれ作成することができた。全ての材料においてアレニウス型の温度時間換算則が成立することを明らかにした。また,繊維の充填と結晶化度の向上が弾性率を向上させるだけでなくクリープの発生を抑制することがわかった。中でも結晶化度は,その変化幅は少なく弾性率の増加もわずかであるにもかかわらず,クリープの発生に対する抑制効果は大きく,現象の発現をおよそ時間軸上で1桁のスケールで遅延させ、耐久性向上に有効であることを明らかにした。 また,購入した高温装置付き顕微鏡及びX線解析より結晶の観察を行い,急冷時に発生した球晶が骨格をなし,その後の結晶化処理により球晶間の非晶域に微細な結晶が発生すると結論を得た。粘弾性挙動は非晶域に依存すると想定されるため,結晶化度のわずかな変化が強い影響を与えた原因との結論に至った。本年度の研究結果は,2003年8月,the 8th International Workshop on Advances in Experimental Mechanicsと2003年10月,4th International Conference on Mechanics of Time Dependentにおいて発表することを予定している。
|
Research Products
(1 results)