2003 Fiscal Year Annual Research Report
セラミック軸受の高温における定格寿命および摩擦摩耗特性に関する研究
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13650101
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Research Institution | Institute of technologists |
Principal Investigator |
市川 茂樹 ものつくり大学, 技能工芸学部・製造技能工芸学科, 助教授 (80193431)
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Keywords | 基本動定格荷重 / セラミック軸受 / ステアケース法 / ワイブル法 / 14S-N試験法 / 摩耗寿命 |
Research Abstract |
セラミック軸受を高温域で使用することを目的に寿命試験を実施し、軸受の設計指針となる諸数値(定格寿命、基本動定格荷重等)をこれまでステアケース法を用いて明らかにしてきた。本報告では、高温域における潤滑が寿命に与える影響を明らかにした。大気雰囲気中200℃におけるセラミック軸受の寿命特性は潤滑の有無によって大きく異なる。セラミック軸受が寿命に至るメカニズムは要素部品(周動盤、転動体および保持器)の摩耗、破損等から以下に分類できる。(1)大気中200℃グリース潤滑では、セラミック軸受の場合周動盤が摩耗し寿命に至る割合が全体の50%、転動体のフレーキングが21%および保持器が破損する場合が29%となる。セラミック軸受では、破壊に至る主な原因が摩耗寿命であることがわかる。他の鋼製(SUS440C)では、周動盤の摩耗とフレーキングの割合が約21%と等価であり、転動体のフレーキングが全体の50%となる。破壊の主な原因がフレーキングによることがわかる。(2)大気中200℃無潤滑では、セラミック軸受および鋼製軸受ともすべて寿命に至る原因は、程度の差はあるものの各要素部品の摩耗である。要素部品同士の摩耗では、特にいずれの場合も保持器の摩耗が著しく、発生した摩耗粉が転動体と周動盤間に介在すると表面状態を急激に悪化させ寿命に至る。転動体に窒化珪素を用いたセラミック軸受では、転動体の摩耗は極めて小さく鋼製軸受に比べ定格寿命は向上する。 以上のことから、セラミック軸受の寿命特性は、組み合わされた他の鋼製要素部品の破壊もしくは発生する摩耗粉の発生状況によって寿命が決定される。ステアケース法による寿命試験結果からも200℃無潤滑による基本動定格荷重では、同一条件での鋼製(SUS440C)軸受の約1.46倍となり高温特性に優れることがわかる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 市川茂樹: "高温におけるセラミック軸受の寿命試験"2001年精密工学会春季講演予稿集. 393 (2001)
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[Publications] 市川茂樹: "高温、無潤滑におけるセラミック軸受の寿命試験"2003年精密工学会春季講演予稿集. M79 (2003)
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[Publications] 市川茂樹: "パットクリーナ製造に関する基礎的研究"2003年砥粒加工学会学術講演会. 78-80 (2003)