2002 Fiscal Year Annual Research Report
走査型プローブ顕微鏡内引張り試験による強磁性パーマロイ薄膜の物性評価技術の確立
Project/Area Number |
13650106
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
磯野 吉正 立命館大学, 理工学部, 助教授 (20257819)
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Keywords | AFM / 引張り試験 / ヤング率 / ポアソン比 / ニッケル薄膜 / パーマロイ薄膜 |
Research Abstract |
最終年度に当たる今年度は,マルチモードAFM装置内マイクロ引張り試験装置を完成させ,マイクロ試験片に対する引張り試験を実施した.ここでは,初年度において有限要素解析により最適設計した小型引張り試験装置を用いて,シリコン試験片,UV-LIGAニッケル試験片およびパーマロイ薄膜試験片に対するマイクロ試験を行った.ここで,マイクロ試験片標点部の形状寸法は幅50μm,長さ6000μm,厚さ15μmであり,引張り試験中における曲げ,ねじりの影響を最小限にするため,試験片標点間距離を比較的長く設定した. まず,シリコンマイクロ試験片を用いた引張り試験において,同試験片標点部に取り付けられた10μmピッチの格子パターンをAFMカンチレバーで直接寸法計測する手法を確立した.すなわち,引張り負荷作用下で標点部の伸び計測を行い,試験片標点部上のひずみ算出法を構築した.試験片標点部上でひずみ計測することにより,(100)面<110>方向の単結晶シリコンのヤング率168.9GPaと同等の値を得ることができた.引き続いて,UV-LIGAプロセスによって作製されたマイクロニツケル試験片による高温引張り/クリープ試験を実施した.ここでは,広範囲なひずみ範囲の引張り試験の検討,高温試験の検討,および荷重制御による高温クリープ試験の検討をおこない,高精度にAFM内引張り試験が実施可能なシステムを確立するに至った. 一方,パーマロイ薄膜試験片に対する引張り試験では,引張り負荷された試験片標点部においてMFM機能を用いた磁区測定を実施したが,パーマロイ薄膜の成膜条件が十分に確立されなかったため,明瞭な磁壁領域を計測することが困難であった.今後,成膜条件の検討を行った後,再度,高精度磁区測定法を確立する必要があることが示唆された.
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