2002 Fiscal Year Annual Research Report
パラレルメカニズムにおけるジョイント回転誤差・熱変位補正フィードバックシステム
Project/Area Number |
13650150
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
大岩 孝彰 静岡大学, 工学部, 助教授 (00223727)
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Keywords | 三次元座標測定機 / パラレルメカニズム / 熱変形補正 |
Research Abstract |
本研究では,能動対偶を出力節に対して並列に配列した機構すなわちパラレルメカニズムにおいて,その静・動的運動精度および熱的安定性を向上させることを目的としている.まず,メカニズムの精度・剛性に大きく影響するジョイントの回転誤差および弾性変形のインプロセス計測を行い,リンクを含めたメカニズム部分の弾性変形と熱的変形の補正を行う.さらに,メカニズムを支持している静的な構造物であるフレーム部の弾性変形および熱的変形をインプロセス計測し,補正を行う. (1)ジョイント回転誤差補正と熱変位補正 パラレルメカニズムではジョイントの運動誤差は機構の運動誤差の大きな原因であると考えられる.また,高精度の測定機では室温変動などによる熱変位の補正を行う必要がある,ここでは,変位計や温度計を用いずに,直動ジョイントの両端に設置する球面ジョイントの回転誤差の補正および直動リンク自体の熱変位を補正するための機構を組み込んだ.さらに,これらの補償がうまく作動しているかチェックするための実験装置を設計した.以上の装置を組み込み室温を2°変化させた場合,補正なしでは1.3μmの伸びが観察されたのに対して,補正を行った結果では0.25μm以下であった.これはリンク全体の熱膨張係数が12.2ppm/Kから2.38ppm/K(19.5%)まで減少したことと等価である.また荷重を掛けた際の弾性変形を結果,みかけの剛性は,0.72N/μmから14.8N/μmへ約21倍向上した. (2)フレームの弾性変形と熱変形の補正 パラレルメカニズム型機械では,メカニズムを支持するフレームやベースにおける外力による弾性変形や室温変動による熱変形も精度悪化の大きな要因である.本研究では,9台の変位計を用いて,フレーム上のメカニズム取付点の位置と姿勢をインプロセスで測定する方法により,上記の変位の補正を行う.9台の変位計の測定値から6自由度パラレルメカニズムの順運動学によりメカニズム取付点の位置と姿勢6自由度を計算し,メカニズムのエンドエフェクタの座標値を補正した結果,室温変動を与えた場合のz方向誤差が33.7μmから6.1μm(18%)へと減少した.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 大岩 孝彰, 片岡 頼洋: "パラレルメカニズムを用いた三次元座標測定機の校正に関する研究-ダブルボールバーとタッチプローブを用いたキャリブレーション-"精密工学会誌. 69巻2号. 222-226 (2003)
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[Publications] 大岩 孝彰, 玉木 雅人: "6自由度パラレルメカニズムにおけるアッベの原理に関する研究(対偶の回転誤差が機構の運動誤差に及ぼす影響)"日本機械学会論文集C編. 69巻678号(掲載予定). (2003)