2002 Fiscal Year Annual Research Report
遷移境界層中の秩序渦構造の発達に関する統一的モデルの構築
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13650178
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
蒔田 秀治 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (40135413)
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Keywords | 境界層 / 遷移 / 乱流斑点 / 馬蹄形渦 / 乱流バルジ / 境界層制御 / 可視化 / 条件付計測 |
Research Abstract |
本研究の目的は、平板境界層中に存葎する渦構造の発達過程を解明し、境界層の乱流遷移機構を統一的に説明し得るモデルを構築することである。そのため、層流境界層中の乱流斑点や乱流境界層中の大規模馬蹄形渦などの相互干渉過程の実験的検証を行った風洞中に置かれた平樺上に形成した層流・乱流境界層中に各々一対の乱流斑点や馬蹄形渦を人為的に発生させ、その相互干渉時における渦構造の変化を熱線プローブによる計測と煙線法による可視化を行い、以下の結論を得た。 1.層流境界層中で二つの乱流斑点が同位相で干渉した場合、斑点同士の融合部では、単独斑点と比較して斑点を構成するベアピン渦同士の干渉によって鉛直方向への成長が促進され、その上層部に横渦を有する強い構造が形成される。それが乱流境界層中の最初の大規模渦構造(バルジ)へと発達する可能性を示した。 2.乱流境界層中で二つの大規模馬蹄形渦をスパン方向に並べて干渉させた場合、馬蹄形渦の内側脚部が分離し、馬蹄形渦の頭部が結合し、M字型構造を経て大規模馬蹄形渦を形成する。その時、分離した内側脚部は低層におけるストリークヘと変化する。 3.一方の馬蹄形渦を20msecの位相差をつけてスパン方向に並べた場合、内側脚部上部の下流側に馬蹄形頭部のバルジとは逆方向に回転する渦構造が表れ、真横に並べた場合のような明確な馬蹄形渦頭部の結合は生じない。この時、後続馬蹄形渦は先行馬蹄形渦に比べて早く減衰する。 4.流れ方向に位相差をつけて二つの馬蹄形渦を相互干渉させた場合、低速上昇流が重なり合い、そこに単独馬蹄形渦よりも強いレイノルズ応力が発生する。 5.層流境界層中に存在する乱流斑点の内部構造(ヘアピン渦)や、乱流境界層中の馬蹄形渦の相互干渉による変化の過程の解明を通して、渦モデルを用いた境界層遷移に関する統一的なモデルを構築することができた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 蒔田秀治他3名: "層流境界層中における乱流斑点の相互干渉に関する可視化実験"日本機械学会2001年度年次大会講演論文集. No.01-1. 211-212 (2001)
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[Publications] 蒔田秀治他3名: "乱流境界層中における大規模馬蹄渦の相互干渉に関する実験的研究"日本流体力学会誌「ながれ」. 21. 42-43 (2002)
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[Publications] 蒔田秀治他3名: "乱流境界層内における大規模馬蹄形渦の相互干渉(干渉した馬蹄形渦と単独馬蹄形渦との渦構造の比較)"日本機械学会東海支部地区講演会講演論文集. No.023-2. 89-90 (2002)
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[Publications] 蒔田秀治他3名: "乱流境界層中における馬蹄形渦の相互干渉(渦構造の変形とレイノルズ応力に関する考察)"航空宇宙技術研究所特別報告. SP. (2003)
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[Publications] 蒔田秀治他3名: "レイノルズ応力分布から見た乱流境界層内の馬秩序渦の相互干渉過程"日本機械学会流体工学部門講演会講演論文集. (発表予定). (2003)