2002 Fiscal Year Annual Research Report
成層圏における航空機排気ガスのオゾン破壊反応に関する実験的研究
Project/Area Number |
13650211
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
津江 光洋 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (50227360)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 通方 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (60011194)
|
Keywords | 成層圏 / オゾン層 / 排気ガス / 窒素酸化物 / 光化学反応 / レーザ誘起蛍光法 / 真空チャンバー |
Research Abstract |
近年,環境分野への関心が高まっており,様々な排気ガスへの規制が厳しくなっている.排気ガス中には様々な有害物質が含まれているが,本研究では中でも窒素酸化物(NOx)に着目している.NOxは対流圏においては光化学スモッグの原因となり,光化学オキシダント生成に寄与するが,成層圏においてはオゾン(O_3)を破壊すると言われている.近年,航空機の高速化と飛行高度の増大,需要の増加傾向があり,今後もこの傾向が続くと考えられているのに加え,近年世界各国で開発の進んでいる次世代超音速機は成層圏レベルの高度を飛行することになり,これらの排気ガス中のNOxがO_3に及ぼす影響が危倶される.O_3は温室効果ガスであることに加え,地球表面を有害な紫外線から防御している.航空機の排出したNOxはO_3化学に寄与する.航空機の排出したNOxの成層圏における挙動は数値シミュレーションによって主に行われてきたが,モデルの不確かさから結果も暖昧である.本研究は,実験的にこの系におけるNOxとO_3の挙動を調べた.実験室において大型真空チャンバを使用することで成層圏レベルの安定した圧力状態を実現し,またO_3生成を可能とし,NOxの光解離を誘起する光源として低圧水銀ランプを使用し成層圏環境を模擬し,その環境を模擬成層圏と定義した.計測はNO, NO_2・LIF法を使用することNOxの濃度を測定することで一定濃度のNOxが存在した場合の模擬成層圏におけるNOxの挙動を測定した.O_3, NO, NO_2の光化学反応を含む反応系での挙動を計測した.模擬成層圏におけるそれらの挙動に対し,実験結果と実際の成層圏の光解離定数を使用した計算結果を検討した結果,NOxの濃度収束値や反応の時定数等に関して,定性的には同じ傾向が見られた.実験室において成層圏で起こりうるNOx-O_3の反応を模擬できたと考える.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 中谷辰爾, 笠原希仁, 芝世弐, 津江光洋, 河野通方: "成層圏におけるNOx-O3反応系の感度解析と模擬実験"日本航空宇宙学会論文集. 50-587. 504-509 (2002)
-
[Publications] 中谷辰爾, 芝世弐, 笠原希仁, 荒木幹也, 尾下充利, 津江光洋, 河野通方: "真空チャンバを使用した模擬成層圏における紫外光照射下のNOx-O3反応系の挙動"日本機械学会論文集. 68-671. 2135-2142 (2002)
-
[Publications] 中谷辰爾, 芝世弐, 荒木幹也, 尾下充利, 津江光洋, 河野通方: "LIF法を使用した模擬オゾン層におけるO希釈ガス噴流中におけるNO-O3反応の測定"日本機械学会論文集. 68-672. 2313-2319 (2002)
-
[Publications] S.Nakaya, S.Shiba, M.Araki, M.Tsue, M.Kono: "The Study on the Behavior of NOx from Airplanes in the Simulated Ozone Layer"Proceedings of The Third Asia-Pacific Conference on Combustion. 581-587 (2001)