2001 Fiscal Year Annual Research Report
下向き面を利用した吸収促進法の最適条件と高性能化に関する研究
Project/Area Number |
13650216
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
姫野 修廣 信州大学, 繊維学部, 助教授 (20114887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日向 滋 信州大学, 繊維学部, 教授 (80007020)
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Keywords | 吸収促進 / 下向き面 / 水蒸気吸収 / 臭化リチウム水溶液 / 吸収式ヒートポンプ |
Research Abstract |
研究代表者が先に新たな吸収促進法として開発した下向き伝熱面を用いた吸収促進法に関し、その最適条件の解明と高性能化を目指す上で重要な、下向き伝熱面の傾斜角や伝熱面長さおよび液膜流量の影響について、本年度は実験的に明らかにした。 実験では、ステンレス製密閉容器内に伝熱面を設置し、その表面に濃度30wt%のLiBr水溶液を流下して容器内下部で発生する水蒸気を吸収させる。伝熱面には、幅50mmで、長さ50mm、180mm、250mmの3種類の銅製矩形伝熱面を使用し、下向きにしたときにも溶液が一様に流下しやすいように高さ1mm、幅1mm、ピッチ4mmの矩形フィン加工を施した。これら3種類の伝熱面について、水平面からの傾斜角が90°(鉛直)、70°、40°の各場合に対して伝熱面を上向きと下向きに設置し、液膜流量をパラメータに平均熱伝達率を測定した。 実験の結果、熱伝達率の膜レイノルズ数に対する依存性は小さく、本実験で行った膜レイノルズ数が1000程度の場合には、液膜流量の影響は小さいことが明らかとなった。 また伝熱面傾斜角が水平に近づくにつれ、下向き面による吸収促進効果は顕著となることが定量的に示された。すなわち伝熱面が水平に近づくにつれ、液膜が厚くなるためにその熱抵抗が増大して上向き面では熱伝達率は低下するが、下向き面の場合には伝熱面に垂直な重力成分の増加や液膜厚さの増加が下向きの効果による液膜内混合を促進し、特に伝熱面長さが250mmの場合には、液膜が最も薄い鉛直伝熱面より熱伝達率は大きくなることが明らかとなった。 また伝熱面長さの影響については、伝熱面が長いほど下向き面の吸収促進効果は大きいことが明らかとなった。これは吸収促進がない場合には伝熱面が長いほど液膜表面での水濃度が高くなり吸収能は低下するために、下向き面による吸収促進効果が顕著に現れるものと考えられる。
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