2002 Fiscal Year Annual Research Report
臭化リチウム水溶液中でのマランゴニ対流発生のモデル化と吸収器高性能化への適用
Project/Area Number |
13650234
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
西村 伸也 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30189310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上殿 紀夫 大阪ガス(株), エネルギー開発部, シニアエンジニア技術主幹(常勤研究職)
伊與田 浩志 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10264798)
野邑 奉弘 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50164736)
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Keywords | 吸収促進 / 界面活性剤 / マランゴニ対流 / 吸収器 / 可視化 / 表面温度測定 / 拡散係数 / 吸収冷凍機 |
Research Abstract |
界面活性剤添加による吸収冷凍機吸収器の性能向上の要因解明と,それを最大限活用可能な吸収器形状の探索を目的に,臭化リチウム水溶液の静止液膜ならびに流下液膜を対象として,複数の界面活性剤を用いた吸収実験ならびに吸収シミュレーションを行い,界面活性剤添加により臭化リチウム水溶液中に生じるマランゴニ対流のモデル化と,吸収促進効果の定量的評価を試みた. まず,n-オクタノール,2エチルヘキサノールならびにブタンを添加した臭化リチウム水溶液の静止液膜を対象に,吸収開始直後の数百ミリ秒間における表面流動の可視化観察と溶液表面温度の非定常計測を行った.その結果,いずれの界面活性剤を添加した場合にも,界面活性剤の添加により溶液表面においてマランゴニ対流が生じること,また,界面活性剤の種類により,その発生・成長パターンが異なることを明らかにした.そして,本研究の添加濃度範囲では,n-オクタノールを用いた場合に,マランゴニ対流による界面かく乱が最も激しくなることを明らかにした.さらに,この観察結果を基に表面流動速度を推定し,表面流動発生の駆動機構について,モデル化を進めた. そして,以上の結果に基づき,界面活性剤添加による吸収促進効果の定量化を行うために,静止液膜実験結果を基に,マランゴニ対流による界面撹乱効果を考慮した疑似拡散係数を実験的に求めた.この疑似拡散係数を用いて,現在開発中のプレート型流下液膜式吸収器を対象とした吸収シミュレーションを行い,プレート型吸収器における界面活性剤添加効果の推定を行った.その結果,界面活性剤の添加により,最大で,冷凍能力が50%ほど,熱通過率が100%ほど向上する予測を得た.現在,界面活性剤添加にマッチした吸収器形状について実験と理論の両面より検討を進めている.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 西村 伸也: "界面活性剤による吸収器の性能向上に関する研究-マランゴニ対流の発生・成長機構の解明と吸収促進効果の評価-"日本冷凍空調学会論文集. Vol.19,No.3. 223-235 (2002)
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[Publications] Nobuya NISHIMURA: "Performance analysis of novel plate Absorbers"Proc. of ASIAN CONFERENCE ON REFRIGERATION AND AIR CONDITIONING. 323-328 (2002)
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[Publications] Nobuya NISHIMURA: "INVESTIGATION OF ABSORPTION ENHANCEMENT BY A SURFACTANT"PROC. OF THE INTERNATIONAL SORPTION HEAT PUMP CONFERENCE. 373-377 (2002)
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[Publications] Nobuya NISHIMURA: "Development of Vertical Plate Type Absorbers"PROC. OF THE INTERNATIONAL SORPTION HEAT PUMP CONFERENCE. 310-314 (2002)
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[Publications] 西村 伸也: "臭化リチウム水溶液表面に生じるマランゴニ対流の動的挙動"第12回環境工学総合シンポジウム2002講演論文集. 545-548 (2002)