Research Abstract |
工場や鉱山,トンネル内といったような閉鎖的な空間において作業を行う場合,対象物を把持あるいは傾けるという作業は容易でないことが多いが,押し操作によって対象物を移動することが可能である.ロボットを用いて,平面上の物体を任意の姿勢で任意の位置に押して移動する押し作業をより安全に効率よく行うためには,あらかじめ対象物の重心,質量および慣性モーメントを推定する方法が必要である.このような対象物の重量や形状がロボットハンドの把持能力を超えた場合について,本年度では,指先型力覚センサを指先に取り付けた2本のロボット指を用いて対象物を押し,得られたロボット指先の運動情報と力情報とから,対象物の重心,質量,慣性モーメントを推定する方法を確立し,また押し作業中における,ロボットが対象物に加える力への粘性抵抗による影響も調べた.まず,対象物の重心,質量,慣性モーメントを推定するための推定式を提案した.そして,実験により実証し,その中で粘性による影響について考慮し,提案した対象物慣性パラメータ推定方法の有効性を示した. 具体的に,指先で対象物を押して,複数の押し方向において対象物を加速させ,指先力覚センサに生じた対象物に働く慣性力,および指先の変位,速度と加速度を利用して対象物の質量および重心を推定する方法を検討した.そして,対象物が支持されている環境平面上で加速回転させ,その時の運動情報と力情報を基に慣性モーメントを推定する方法を考案した.最後に,6自由度アームロボットと2本の指先型力センサ付きロボット指を用いて実験を行い,得られた良好な実験結果により,提案した推定方法の有効性を実証した. 研究成果は,2002年に日本ロボット学会創立20周年記念学術講演会予稿集,および第3回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会講演論文集に発表した.
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