2002 Fiscal Year Annual Research Report
錯覚による動的パターン誤認知を利用した能動触覚呈示法の研究
Project/Area Number |
13650285
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
前野 隆司 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (20276413)
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Keywords | 触覚 / 触覚ディスプレイ / 指 / バーチャルリアリティー / 錯覚 / 皮膚 |
Research Abstract |
ヒトが接線方向に指を滑らせる動的触察によってμmオーダーの細かい凹凸面の質感を知覚する際には,錯覚による誤認知が知覚した質感に大きく影響していると考えられる.この影響を明らかにするためには,触覚受容器の応答特性を数値解析するとともに,様々な刺激に対するヒトの知覚特性を計測し,ヒトの誤認知メカニズムを明確化する必要がある.このため,本研究では,有限要素解析と心理物理実験をおこない,空聞的に分布する接線方向振動刺激の振幅や周波数と粗さ感との関係についての基礎的な知見を得た.まず,ヒト指腹部断面と凹凸面の接触履歴を有限要素法により解析した.この結果,空間的に細かい凹凸面を対象とした場合には動的触察時にマイスナー小体へ加わる刺激が主に指腹部への接線方向刺激であることがわかった.また,指腹部の接線方向に任意振幅・任意波長・任意周波数の振動刺激を呈示する装置を製作した.振動生成はボイスコイルモータによって行い,リンク機構により縮小した変位を振動刺激呈示部によりヒトの指腹部に呈示した.本装置を用いて複数の被験者に対する心理物理実験を行った結果,接線方向刺激の振幅が大きい場合や周波数が高い場合など,マイスナー小体が強く反応すると考えられる刺激に対して粗さ感が増すことがわかった.さらに,動的触察時に触覚・力覚・視覚がそれぞれ果たす役割についての研究を行った.すなわち,触察対象の粗さ面を実際とは異なるピッチに感じさせるために,皮膚と粗さ面の相対速度や視覚情報の内容を操作する実験装置を製作した.本装置によって感覚情報の内容を操作した水準を設けて一対比較試験を行った結果,ヒトは粗さ判別を行う際に,皮膚内部に生じる刺激の振幅と周波数,そして視覚情報の順に重要視していることを明らかにした.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 鄭森介, 前野隆司: "ヒト指腹部における軟らかさ分布検出特性に及ぼす触覚呈示法の影響"日本機械学会論文集. 67-65C. 1926-1933 (2001)
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[Publications] Naoe Tatara, Masayuki Mori, Takashi Maeno: "Method for Eliciting Tactile Sensation using Vibrating Stimuli in Tangential Direction : Effect of Frequency, Amplitude and Wavelength of Vibrating Stimuli on Roughness"Proc. 33rd International Symposium on Robotics. 055-70 (2002)
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[Publications] 毛利優之, 前野隆司: "接線方向刺激を用いた触感呈示法(第一報,触覚デイスプレイの製作と粗さ感の呈示)"日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会'02講演論文集. 02-6. (2002)
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[Publications] 多々良尚愛, 前野隆司: "接線方向刺激を用いた触感呈示法(第二報:指腹部有限要素モデルを用いた振動刺激波形の影響の解析)"日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会'02講演論文集. 02-6. (2002)