2002 Fiscal Year Annual Research Report
超電導限流器による電力系統の総合的安定化に関する基礎的研究
Project/Area Number |
13650293
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
田村 淳二 北見工業大学, 工学部, 教授 (40171897)
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Keywords | 超電導限流器 / 同期機 / 過渡安定度 / タービン系ねじれトルク / 再閉路失敗 / 最適再閉路 |
Research Abstract |
本年度は、超電導限流器による故障電流の抑制、同期発電機の安定化、タービン軸系のねじれ応力の低減を目的として、主として多機系統モデル(2機9母線系統モデルおよび電気学会WEST10機系統モデル)を用いて検討を行い、合わせて最適再閉路時間に関しても検討した。以下に得られた結果を箇条書きに記す。 1)2機9母線系統モデルに対して得られた結論は以下のとおりである。 (1)故障電流は、0.5pu以上の限流素子抵抗値を使用することで設定臨界電流値以下になる。 (2)同期発電機の安定度の改善に最も適している限流素子抵抗値は1.1puである。 (3)タービン軸系のねじれトルク振動の抑制に最も適している限流素子抵抗値は0.8pu〜1.1puである。 (4)SFCLによる安定度の改善効果が大きいため、臨界故障除去時間の延長が可能である。 2)WEST10機系統モデルに対しては、故障電流の抑制では限流素子抵抗値0.6pu以上、安定度の改善では1.0〜2.0pu程度がそれぞれ有効であることがわかった。従って、WEST10機系統に対する効果的な限流素子抵抗値は、1.0〜2.0pu程度であると考えられる。 3)発電機の運動エネルギーを利用した最適再閉路時間(ORCT)の決定方法の妥当性確認のため、3つのモデル系統(1機無限大母線系統、2機9母線系統、WEST10機系統)を用いて検討を行った結果、全てのケースにおいて過渡安定度がほぼ最良となるORCTを決定できることを示した。更に、運動エネルギーをリアルタイムに算出し、絶縁回復時間等の制約条件を考慮すれば、オンラインでORCTを決定できる可能性を有することも示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 矢神 雅規, 柴田 真輔, 村田 年昭, 田村 淳二: "多機系統における同期発電機の超電導限流器による安定化に関する検討"平成14年電気学会電力・エネルギー部門大会論文集(分冊A)、論文I.No.37. 253-259 (2002)
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[Publications] M.Yagami, T.Murata, J.Tamura: "Enhancement of Power System Transient Stability by Superconducting Fault Current Limiter"Conference Record of ICEM 2002 (International Conference on Electrical Machines), No.147 (6 pages). 147(CDにて配布). (2002)
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[Publications] M.Yagami, S.Shibata, T.Murata, J.Tamura: "Improvement of Power System Transient Stability by Superconducting Fault Current Limiter"Proc.of IEEE/PES Transmission and Distribution Conference and Exhibition 2002-Asia Pacific. 359-364 (2002)
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[Publications] 矢神 雅規, 村田 年昭, 田村 淳二: "過渡安定度改善のための最適再閉路に関する検討"電気学会電力技術研究会資料PE-02-5. 25-30 (2002)
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[Publications] 矢神 雅規, 村田 年昭, 田村 淳二: "過渡安定度改善のための最適再閉路に関する検討"電気学会論文誌B. 123巻1号. 13-20 (2003)
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[Publications] 矢神 雅規, 柴田 真輔, 村田 年昭, 田村 淳二: "多機系統における同期発電機の超電導限流器による安定化に関する検討-2機無限大母線系統による解析-"電気学会論文誌B. 123巻2号. 133-142 (2003)