2001 Fiscal Year Annual Research Report
Melt-Casting法によるBi系超電導体の特性改善と電流リードの開発
Project/Area Number |
13650361
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Research Institution | Toyota National College of Technology |
Principal Investigator |
塚本 武彦 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 助教授 (10217284)
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Keywords | Melt-Casting法 / Bi2212バルク超電導体 / 電流リード / 臨界温度 / 臨界電流 / 交流損失 / 導電特性 / Li添加 |
Research Abstract |
本研究では、Melt-casting法(MCP)によってSrSO_4を10wt%混合した円柱状のBi2212バルク超電導体を作製し、その導電特性を明らかにした。 試料の出発組成は、Bi : Sr : Ca : Cu=2:2:1:2とした。まず、融点の高いSrC0_3,CaCO_3,CuOを秤量・混合し、空気中において950℃で40時間仮焼した。仮焼粉を粉砕後、融点の低いBi_2O_3を混ぜた。この混合紛(約50g)に対して重量比で10%のSrSO_4を添加・混合し、材料紛とした。この材料粉をアルミナ製のるつぼに入れ、l000℃で20分間加熱した。液体状になった材料は銅板で作った円筒形の型に流し込んで固めた。銅板を取り除き、円柱状に成形した後、そのバルク体を840℃で100時問焼結した。最後に結晶粒内の酸素濃度を最適化するために、700℃で20時間アニール処理し、液体窒素を用いて急冷したものを試料とした。 まず、直径約1cmの円柱状試料は液体窒素温度において50Aを超える臨界電流を示した。また、n値は7.9であった。この試料は通常の焼結試料よりも15K程高い82Kで零抵抗を示した。したがって、MCPによって導電特性を大幅に改善することができた。次に、試料中心部では組成比がBi2212とは大きくずれていた。また、交流損失はNorrisの理論値の半分程度であった。これらの結果は、超電導電流が試料表面近くを重点的に流れていることを意味している。今回測定した交流損失は、商用周波数・50Aという条件で単位長さ当り約5mWであり、電流リードによる熱流入という面では無視できるくらい小さい量であった。 次に本研究では、適量のLi_2CO_3を出発原料に加えるとMCP試料の臨界温度が向上することを明らかにした。添加したLiは熱処理中の超電導相の成長を促進させ、その結果試料の示す零抵抗温度ばかりでなく、オンセット臨界温度も高くなった。800℃でアニールしたMCP試料Bi_2Sr_2CaCu_2Li_<0.2>O_yは90K以上で零抵抗を示した。
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