2002 Fiscal Year Annual Research Report
ZnS半導体薄膜の窒素ドーピングによる伝導性制御とpn接合型発光素子への研究
Project/Area Number |
13650363
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Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
岸本 誠一 高知工業高等専門学校, 電気工学科, 助教授 (90177816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 哲也 高知工科大学, 電子・光システム工学科, 教授 (30320120)
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Keywords | 硫化亜鉛 / 同時ドーピング / フォトルミネッセンス / 窒素ドーピング / エピタキシャル成長 |
Research Abstract |
添加不純物として取り上げたインジウムIn,銀Ag,および窒素Nのそれぞれの成長層に対する影響を調べるために,不純物の添加温度や流量をそれぞれ独立に変化させて硫化亜鉛(ZnS)エピタキシャル層の成長を試みた. X線回折の測定から,In添加温度を高くするかNH_3流量を多くすると,成長層の結晶性は悪くなったが,Ag添加温度を高くすると良くなる傾向を示した.これは,Agが固有欠陥であるZn空孔を埋めることによって結晶系の歪みを緩和して結晶性の向上につながっていると考えられる.P型の伝導性を得るためには固有欠陥であるZn空孔を埋める必要があり,Agは伝導性制御にも関与していると考えられる.光学的特性(フォトルミネッセンス特性)においては,In添加温度かNH_3流量のどちらかを変化させると,それに従ってInドナー不純物に関連すると思われる発光が影響を受けた.P型成長層においては成長時のNH_3流量が多いほど,n型成長層においてはIn添加温度が高いほど,電気抵抗率の値が小さくなる傾向を示した.InとAgはフォトルミネッセンスを,Nは電気抵抗率を制御するために添加したが,フォトルミネッセンス特性,Hall測定の結果からは成長層中にはInとNがペアで取り込まれていると考えると妥当な結果が得られた.すなわち,フォトルミネッセンスと電気抵抗率の両方に,InとNがお互いに関連していることが明らかになった. そして,pnデバイス化に有効な結晶性,フォトルミネッセンス,および低抵抗率を満足する不純物の添加条件について検討を重ねた.また,低抵抗のn型エピタキシャル層も再現性よく得られた.劣化問題のない安定な光エレクトロニクスデバイスを開発するためには,これらのことは必須条件である.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 山本哲也, 岸本誠一, 飯田誠之: "Control of Valence States for ZnS by Triple-Codoping Method"Proc.of Intern.Conf.on Defects in Semiconductors. (2001)
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[Publications] 山本哲也, 岸本誠一, 飯田誠之: "Material Design for p-Type ZnS with Blue Ag Emission by Triple-Codoping Method"Physica Status Solid(b). 229. 371-375 (2002)
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[Publications] 岸本誠一 ほか: "Attempts of homo p-n junction formation in ZnS by impurity co-doping with vapor phase epitaxy"Physica Status Solid(b). 229. 391-393 (2002)
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[Publications] 古曳, 鈴木, 山本哲也, 岸本誠一, 飯田誠之: "Coupling of codoped In and N impurities in ZnS : Ag : Experiment and theory"Journal of Applied Physics. 91. 760-763 (2002)
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[Publications] 岸本誠一: "気相エピタキシャル硫化亜鉛ZnS膜への不純物ドーピングの影響"高知工業高等専門学校学術紀要. 48. (2003)