2002 Fiscal Year Annual Research Report
電力線通信による高速高信頼ホームネットワーク実現のための基礎研究
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13650413
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Research Institution | EHIME UNIVERSITY |
Principal Investigator |
都築 伸二 愛媛大学, 工学部, 助教授 (60236924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 芳郎 愛媛大学, 工学部, 教授 (00110833)
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Keywords | 電力線通信 / ノーマルモード / コモンモード / 重信伝送 / 通信方式 / ダイバーシティ / 通信の高速化 / 通信の高信頼化 |
Research Abstract |
ホームネットワークの需要が近年高まっており、新たな線路の敷設が不要な方式として、無線とともに電力線通信が注目されている。ただし電力線は、多分岐配線のためネットワークトポロジが複雑であり、また接続される家電機器のインピーダンスの影響を受けるため、伝送路特性のモデル化は一般に容易ではないとされていた。平成13年度本研究では、欧米で現在進められている高速電力線通信の標準規格で使用されている、数M〜30MHzつまり短波帯の電力線伝送路の特性を明らかにし、伝送路モデルを作成した。 平成14年度は特に、信号の伝送モードのうちこれまで利用されていなかったコモンモードに注目し、重信伝送方式を新たに開発し、その効果を実験的に示した。この方式により伝送容量を倍増、つまり高速化が可能でありまた、通信の信頼性を向上することが可能となる。 (a)原理: 従来の屋内電力線通信の場合、100ボルトの線間に信号を重畳し(ノーマルモード)伝送するが、多分岐配線によるインピーダンス不整合や平衡伝送ができない配線形態により、電力線とアース間で電位差を発生する、つまりコモンモードにモードが変換する。このことにより電力線が一種のアンテナとなり、既存無線局への干渉が生じるため、問題となっている。本研究では、屋内電力線としてよく用いられる3芯VVFケーブルにおいて、コモンモード変換が起きにくい配線方法を検討し、さらにコモンモードを使って伝送する方式、つまり重信伝送方式を開発した。 (b)方式の基礎検討: 受信器側で、ノーマルとコモンの両モードを分離できれば、モード間でのダイバーシティを利用することで、通信容量を増大でき、またデータ伝送の信頼性を向上できる。さらに、送信側で両モードを直交して送出すれば伝送途中でモードが変換しても、分離は可能となるはずである。本研究では、こうした2つのモードの注入と抽出方法を検討し、重信伝送方式を新たに開発し、その効果を実験的に示した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 稲田圭吾: "屋内3芯電力線における重信伝送方式のBER特性測定"電子情報通信学会総合大会、基礎境界部門、3月. (予定). A-5-A-18 (2003)
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[Publications] Januncio Pessona de Lima NETO: "In-door Power-line Impedance Measurement up to High Frequency(10KHz-70MHz)"the 7th International Symposium on Power-Line Communications and Its Applications, ISPLC2003,Kyoto,2003.3.26--2003.3.28.. (予定). (2003)
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[Publications] 都築伸二: "屋内電力線通信の現状と課題"信学技報, 通信方式研究会, 2002年11月7日,(招待講演). CS2002-107. 31-36 (2002)
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[Publications] 稲田圭吾: "屋内電力線伝送路の平衡度改善および重信伝送の検討"信学技報, スペグトル拡散研究会, 仙台, 2002-10.. SST2002-42. 43-48 (2002)
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[Publications] 稲田圭吾: "3芯VVFケーブルの平衡度改善と重信伝送への適用"平成14年度電気関係学会四国支部連合大会, 平成14年10月5日. 12-16 (2002)
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[Publications] 川上康人: "3芯VVFケーブルを用いた重信伝送用バランの検討"平成14年度電気関係学会四国支部連合大会, 平成14年10月5日. 12-17 (2002)
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[Publications] 片山正昭監修: "電力線通信システム、ISBN4-88657-219-7"トリケップス. 188 (2002)