2002 Fiscal Year Annual Research Report
視覚系における特徴抽出及びその充填処理機構に関する研究
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13650459
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Research Institution | Toyama National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
塚田 章 富山商船高等専門学校, 情報工学科, 助教授 (40236849)
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Keywords | 順応 / 中心窩 / 高ダイナミックレンジ |
Research Abstract |
当該研究は,視覚系の空間順応特性を測定し,得られる特性を代表者が提案している視覚情報処理モデルに組み込み,視角の小さな図形が明るく知覚される機構を明らかにすることを目的としている.これまでに,順応の空間特性のひとつとして,代表者は網膜のある部分の感度がその周辺の明るさに影響を受けること(周辺順応)と,影響を受ける範囲が特に中心窩付近で広いことを示唆した. 本年度は,順応機能を視覚情報処理モデルに組み込む前段階として,これまでに知り得た順応機能を実際のシーンに適用した.取り扱うシーンは,順応機能がよく働く状況を想定した.すなわち,3対数単位以上の高いダイナミックレンジを持つシーンを用いた.このようなシーンを従来の撮像装置で撮影すると,動作範囲を超えた部分の情報は失われる.露出の異なる複数枚の画像を合成して高ダイナミックレンジシーンを得ることができるが,これをCRT等で表示すると白とびや黒つぶれを生じる.ヒトは順応機能によりこのようなシーンを比較的良好に認識している.視覚系が周囲の環境の平均的な明るさに順応する(平均順応)ことは一般的に知られているが,この機能だけでは従来の撮像装置と変わらない.そこで,網膜各部の順応レベルは平均順応と上述の周辺順応の両方が同時に働き決定されると考えた.決定された順応レベルに錐体のS字型光応答特性を考慮して高ダイナミックレンジシーンを変換したところ,白とびや黒つぶれがない画像が得られた.このことは,用いた順応機能の妥当性を示唆するが,周辺順応の範囲が特に中心窩付近で広いことを考慮した変換を行い,ヒトが知覚するシーンをどの程度模擬できているかを評価する必要がある.
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Research Products
(2 results)