2001 Fiscal Year Annual Research Report
地震電磁界計測に含まれる異常電磁変動の自動検出と雑音除去に関する研究
Project/Area Number |
13650477
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
服部 克巳 千葉大学, 海洋バイオシステム研究センター, 助教授 (60244513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊勢崎 修弘 千葉大学, 理学部, 教授 (60107943)
長尾 年恭 東海大学, 海洋学部, 教授 (20183890)
早川 正士 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (80023688)
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Keywords | transientな現象 / トリンピ効果 / 自動認識・検出 / 異常変化 / 線形適応フィルタ(ADF) / ニューラルネットワーク / 非線形適応フィルタ(NDF) / 信号予測器 |
Research Abstract |
本年度は解析のための計算機環境を整備し、各種データを入手整理するとともに、研究の第1ステップとしてtransientな現象で性質のよくわかっているトリンピ効果を取り上げ、非線形フィルタによる自動認識・検出の有効性を調査した。トリンピ効果とは地球磁気圏における波動粒子相互作用の結果、磁気圏内に捕捉されていた高速電子がピッチ角散乱により地球電離層に突入することに伴い、電離層に小規模な擾乱が発生し、観測しているVLF局電波の振幅・位相にtransientな異常が生じる現象である。観測データは位相については比較的安定しているが、振幅に関してはSNが悪いという特徴がある。非線形フィルタはいろいろ提案されているが、シミュレーションによる検証が多く、実信号への適用はあまりされていない。本研究では、線形適応フィルタ(ADF)およびニューラルネットワークを利用した非線形適応フィルタ(NDF)を利用した信号予測器を構築し、観測された時系列データへ適用し、振幅・位相の有意な異常変化の自動検出を試みた。具体的には、過去の時系列データから未来(1つ先)の時刻のデータを予測し、予測値と実測値の違いを評価することで、信号の異常性を判断させる。ADFとNDFとも入力は現在を含む過去10点のデータを入力し、次の1点を予測し、実測データと比較する。このときデータの標準偏差の2倍(2σ)を超えるものを異常値とした。NDFは3層のパーセプトロンとし、あらかじめトリンピ効果のモデルを用いて逆伝搬法で十分学習させた。その結果、位相に関してはADF、NDFともパフォーマンスは同等であるが、SNの悪い振幅ではNDFの方がより有効であることがわかった。 今後は、NDFの特性を詳細に調査するとともに、ノイズ検出・除去等の地震電磁気データへの応用を試みる。
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