2001 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリート流動性制御のための材料要素技術の体系化
Project/Area Number |
13650502
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
坂井 悦郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (90126277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 陽子 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (50223938)
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Keywords | 流動性制御 / 高流動コンクリート / 材料要素技術 / 微量成分 / 初期水和 / 遊離石灰 / 膨張材 / 高性能AE減水剤 |
Research Abstract |
高流動コンクリートの実用化に関連して重要となっているコンクリートの流動性制御のための材料要素技術の体系化と関連して、基礎的なデータの収集を行った。高性能AE減水剤の分散作用に関する微量添加イオンの影響と対応策およびセメント粒子は水和反応を生じるので、初期水和制御技術についても、以下のように体系的に整理した。 炭酸イオン・硫酸イオンやリン酸イオンなど難溶性のカルシウム塩を生成する陰イオンを含む無機塩が存在すると高性能AE減水剤の吸着が阻害され、分散作用が低下することを見出した。これは、液相中のCa^<2+>イオンが難溶性の塩を生成するため、Ca^<2+>イオンが低下し、石灰石微粉末上に吸着量が減少し、高分子の吸着サイトが低減されるためであることを明らかにした。また、炭酸イオンは高分子の吸着を阻害するだけであるが、硫酸イオンは吸着の阻害に加えて高分子を収縮させる作用があることを明らかにした。以上より、遊離石灰量を増加させることや高分子の共重合組成にスルフォン基を有するモノマーを導入することとグラフト鎖長をある程度長くすることにより、微量成分の影響を受けない高性能AE減水剤が可能であることを見出した。 セメントの初期水和の主体をなすC_3A-セッコウ系の水和反応に及ぼす分散剤の影響を検討した。その結果、初期水和は、高性能AE減水剤の添加により促進されることを明らかにした。また、これは、C_3Aの周囲に生成されるゲル状水和物へのSO_4^<2->の供給が高分子により阻害されるためであることを明らかにした。以上の明らかになった機構に基づき、初期水和制御の方法としては、遊離石灰量を増加させること、遊離石灰を多量に含む膨張材を用いることおよび二水セッコウの一部を半水セッコウに置換することで初期水和制御が可能であることを見出した。
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[Publications] 坂井悦郎, 大門正機: "セメントコンクリートの流動性制御における要素技術の体系化 却高性能AE減水剤の分散作用に及ぼす各種リン酸塩の影響却"セメント・コンクリート. No.653. 56-61 (2001)
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[Publications] 姜珍圭, 坂井悦郎, ほか: "分散剤存在下での膨張材却Ca_3Al_2O_6-CaSO_4・2H_2O計の初期水和反応"セメント・コンクリート論文集. No.55. 62-67 (2001)
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[Publications] E.Sakai, M.Daimon: "The Action Mechanisms of Comb-Type Superplasticizers Containing Grafted Polyethylene Oxides Chains"Macromolecule Symposia. (印刷中). (2001)
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[Publications] 坂井悦郎, 新 大軌, ほか: "櫛形高分子の吸着挙動と分散作用"日本セラミックス協会2001年年会講演予稿集. 318 (2001)
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[Publications] 坂井悦郎, 川上晃, ほか: "櫛形高分子の分子構造と分散作用"日本セラミックス協会2001年年会講演予稿集. 317 (2001)
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[Publications] 坂井悦郎, 新 大軌, ほか: "セメント系分散剤としての櫛形高分子の分子設計"日本セラミックス協会[21世紀記念]第14回秋季シンポジウム講演予稿集. 21 (2001)
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[Publications] 坂井悦郎, 大門正機: "最新・コンクリート混和剤の技術と応用(分担)"(株)シーエムシー. 12-25 (2001)