2002 Fiscal Year Annual Research Report
低温環境にある岩盤の熱・応力・浸透連成挙動と岩盤斜面の劣化に関する研究
Project/Area Number |
13650536
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
山辺 正 埼玉大学, 工学部, 助教授 (40125894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 昌彦 埼玉大学, 地圏科学研究センター, 助教授 (00214114)
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Keywords | 低温環境 / 連成問題 / 岩盤斜面 / 時間依存性 |
Research Abstract |
室内凍結融解試験および原位置試験から,低温環境におかれた飽水状態の岩質材料は0℃以下で凍結膨張し,変形挙動は間隙内の水分の凍結が大きく影響していることが従来の研究からわかっている。また地盤内の熱現象は,熱移動・間隙水の変化・変形挙動が複雑に連成したものであることから,地盤内の熱現象を解明するためには,これら各現象が連成する場の数値解析が必要となる。そこで,本研究では運動量保存則・質量保存則・エネルギー保存則を連成して解く熱移動・応力・浸透連成解析を実施するため,各保存則について支配方程式を誘導したのち有限要素法により定式化し,それに基づいた弾塑性解析コードを作成した。さらに,凍結下室内三軸圧縮試験結果から接線変形係数の応力依存性を取り込み,諸物性値の異なる岩質材料を用いて室内凍結融解試験を実施したところ,熱源付近に凍上現象による破壊が確認された。この弾塑性解析コードにより,室内凍結融解試験で確認された凍結膨張による破壊挙動を残留ひずみも含めて定性的・定量的に表現することができた。 この解析コードを斜面の劣化問題に適用すると共に地下空洞内に低温物質を貯蔵することを想定した解析を実施し、貯蔵物質の温度により空洞周辺の劣化領域が大きく異なることを定量的に示した。さらに、室内試験においては低温熱源付近の熱伝達係数を逆解析によって決定する手法を開発したことも成果の一つである。また、開発した手法のごく一部を変更することにより低温環境のみならず、高温環境に対しても適用可能であることを確認した。今後は時間に依存する現象を対象としてより簡便な解析手法を開発する予定である。
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[Publications] 山辺 正: "熱環境におかれた堆積軟岩の強度変形特性と処分坑道周辺に関わる2〜3の数値解析"第19回岩盤システム工学セミナー. 97-108 (2002)
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[Publications] Saotome A.: "Constituent material properties and clast-size distribution of volcanic breccia"Engineering Geology. Vol.64. 1-17 (2002)
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[Publications] 山辺 正: "環境条件を考慮した軟岩の時間依存性挙動とその変形予測に関する実験的研究"土木学会第57回年次学術講演会. III-443. 885-886 (2002)