2002 Fiscal Year Annual Research Report
半乾燥地域での地面蒸発・降雨と塩類集積の消長の関係
Project/Area Number |
13650574
|
Research Institution | Daido Institute of Technology |
Principal Investigator |
下島 栄一 大同工業大学, 工学部, 教授 (80027276)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉川 一郎 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 助教授 (40273198)
堀内 将人 大同工業大学, 工学部, 教授 (00157059)
|
Keywords | 半乾燥地 / 地面蒸発 / 塩類集積 / 砂層 / 実験 / 数値計算 |
Research Abstract |
半乾燥地での蒸発-塩類集積の関係を、特に雨季より乾季に移行し、地下水面が消失した段階に着目して、実験的に調べた。昨年度と同様、西オーストラリア半乾燥地での砂質土壌を用い、下記の条件下でのカラム蒸発実験を約40日実施した。即ち、PVCパイプを用いて長さ100cm、直径10cmの砂層を作り、これを水分量一様なfield capacityの状態にして(昨年度は地下水面を形成)、その表面を温度25℃、湿度20%の大気に開放し、また砂層表面に太陽照射を模擬した熱照射(550W/m^2)を与えた場合も行った。得られた結果は以下の通りである。 1)実験終了時までの累積蒸発高は熱照射を与えた方が約10mm大きかったが、終了時の蒸発強度は同一で、0.016mm/hとなった。2)砂層表面下約8cmまでの乾燥化は顕著であったが、特に熱照射は含水量を照射を与えない場合に比し、半分程度まで低下させた。3)蒸発に伴って塩類集積が起こるが、砂層表面上に厚さ約5mmの塩クラストが盛り上った状態で形成され、また実験終了時、表面下約2cmの範囲で塩析出が認められた。塩分不飽和の領域での濃度は熱照射を与えた方が顕著となった。4)砂層中の水蒸気密度測定より、蒸発域が深さ約2cmまで進行することが分かった。その密度分布は、熱照射を与えない場合には水蒸気は上方にのみ輸送されるが、与えた場合には、下方への輸送も認められた。5)上方への水蒸気輸送抵抗は、乾砂層に比し塩クラスト部分で、1オーダー大きくなることが分かった。 なお、数値計算的研究に関しては、昨年度、中国北西部半乾燥域での観測(HEIFE)データを用いて水分・熱・塩分移動のシミュレーションを成功裏に実施できたので、今年度、同数値計算モデルを上記のオーストラリアの観測地に適用するため準備を始めたが、基本データの整理に終始し、数値計算までには至らず、今後の課題となった。
|
Research Products
(1 results)