2001 Fiscal Year Annual Research Report
MAR-FISH法による硫酸塩還元細菌の特異的検出と有機物利用特性の同時解析
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13650593
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡部 聡 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10253816)
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Keywords | 硫酸塩還元細菌 / 生物膜 / MAR-FISH法 / 培養条件 / 共焦点走査型レーザー顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究は、放射性標識した有機物を用い、微生物細胞内における放射性物質(トレーサー)の取込みを観察するマイクロオートラジオグラフ法(MAR)と蛍光in situハイブリダイゼーション法(FISH)を組み合わせたMAR-FISH法を確立することにより、生物膜内における硫酸塩還元細菌の有機物利用特性(機能)および特異的検出・同定の同時を可能にすることであり、本年度はMAR-FISH法の開発及び最適化に主眼を置いて研究を行った。その結果を以下に要約する。 トレーサー実験の最適化:マイクロオートラジオグラフにおいて細胞レベルで有機物の取込みを検出できる感度を得るための、前培養時間および本培養時間、基質濃度、トレーサーの濃度、バイオマス濃度等のパラメーターを検討した。ホモジナイズした生物膜を試料とし、電子供与体として[^3H]Acetate、[^<14>C]CO_2+H_2、[^<14>C]Lactate、[^<14>C]Formate、[^<14>C]Propionateを用いた。最初に、各非放射性標識の有機酸(2mM)を用いた前培養を3時間、室温で行い、続いて放射性標識の有機酸を添加し、本培養を5時間行うことで良好なトレーサーの取り込みを確認できた。本培養における放射性標識の有機酸濃度は3mlの培養液あたり20μCiとした。培養は、好気(電子受容体としてO_2のみ)、無酸素(電子受容体としてNO^-_3のみ)、嫌気(電子受容体としてSO^<2->_4のみ)の三つの条件で行った。全ての電子受容体存在下で良好なマイクロオートラジオグラフが得られた。従って、これ以降の培養は前培養:3時間、本培養:5時間とする。感光時間は、トレーサーの取り込み状況によって3〜7日の間で適宜調整をする必要があることが明らかとなった。 蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH):上記のように培養した生物膜試料をパラフォルムアルデヒドで固定、洗浄等の処理を施した後、ゼラチンコーティングを施したカバーガラスに固定しFISHを行い、その後、上述のマイクロオートラジオグラフィーを行った。共焦点走査型レーザー顕微鏡で観察の結果、FISH法の画像とMARによる画像を重ね合わせることにより、硫酸塩還元細菌の有機物利用特性(機能)および特異的検出・同定が同時に可能であった。
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Research Products
(1 results)