2002 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質高分解性微生物群を用いた好気・嫌気複合消化プロセスによる汚泥処理の研究
Project/Area Number |
13650597
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
松本 明人 信州大学, 工学部・社会開発工学科, 助教授 (30252068)
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Keywords | Bacillus属細菌 / コンポスト / 嫌気・好気複合消化 / 消化温度 / 好気性消化 / VSS分解率 |
Research Abstract |
汚泥の減量化を目的に、有機物分解能に優れると報告されているBacillus属細菌に着目し、それらを多く含むコンポストを種汚泥とした好気性消化実験をおこなった。今年度はまず嫌気性消化と好気性消化を組み合わせた汚泥処理プロセス開発のため、下水処理場の嫌気性消化汚泥を基質とした回分実験(好気性消化:消化温度30℃)、つぎに好気性消化の最適運転条件決定のため、好気性消化における消化温度(20、30、50℃)が処理性能に及ぼす影響について、実際の下水処理場の汚泥を基質に用い、回分実験にて検討した。 まず嫌気性消化汚泥を基質に用いた好気性消化実験の結果についてであるが、嫌気性消化汚泥を基質にした場合でも良好な処理がおこなわれ、運転開始後1.5日目のVSS分解率は43.6%、そして最大VSS分解率は運転開始後21日目の52.7%であった。最大VSS分解率52.7%の場合、前段におこなわれた嫌気性消化における最大VSS分解率とあわせると、嫌気・好気複合消化プロセスでの最大VSS分解率は81.0%ときわめて高い値が得られた。 一方、消化温度の影響に関する実験結果であるが、30℃と50℃を較べた場合は、50℃では運転開始後3日目に既にVSS分解率は48.2%に達し、10日目に最大VSS分解率58.7%を記録した。それに対し、30℃の場合、運転開始後3日目のVSS分解率は14.3%であり、最大VSS分解率は運転開始後14日目の66.9%であった。すなわち50℃で運転した方が30℃で運転した場合より、分解ははやく進むものの、分解率は若干、低下することがわかった。つぎに30℃と20℃を較べた結果であるが、20℃の場合は運転開始後42日目に最大VSS分解率38.2%を記録し、30℃の場合の最大VSS分解率は運転開始後21日目の24.7%であった。若干、30℃のほうが分解は速く進むが、最終的な分解率は20℃のほうが、高かった。ただし今回の20℃と30℃の実験でのVSS分解率は、いままでおこなったほぼ同条件の実験に較べると低かったことに注意が必要である。
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