2001 Fiscal Year Annual Research Report
塩害環境下における鉄筋コンクリート構造物の劣化予測に関する研究
Project/Area Number |
13650636
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山田 義智 琉球大学, 工学部, 助手 (80220416)
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Keywords | 飛来塩分量 / 塩化物イオン / 有限要素法 / HSMAC法 / 劣化予測 / 鉄筋コンクリート構造物 |
Research Abstract |
本研究では,陸上大気中における飛来塩分量を解析的に求め,飛来塩分量の実測値と比較した。飛来塩分量の測定は,土研式の塩分捕集器を用い,海岸から約300m離れた住宅の二階屋上およびその庭にて行った。得られた飛来塩分量の実測結果と解析結果を比較検討したところ,建物や樹木等の障害物による飛来塩分量の遮蔽係数を従来提案していた値の2倍にすると,解析結果は実測結果を良く表す事が分かった。また,飛来塩分量の実測結果より,飛来塩分を測定した住宅においては,海側(北西)方向の飛来塩分量より陸側(南東)方向の飛来塩分量の方が多くなる現象が生じた。この現象を解明するために,住宅周辺の風速場をHSMAC法にて解析した。この解析で得られた風速場の結果より,海側方向の飛来塩分量より陸側方向の飛来塩分量の方が多くなる現象の原因は,風上側の建物で生じる風の渦によるものと推定された。 本研究では,コンクリート中に浸透する塩化物イオン量を有限要素法により求める手法についても開発している。本解析手法では,塩化物イオンの浸透面における境界条件は塩化物イオンのフラックス量を与えた。このフラックス量は,水セメント比,飛来塩分量,水掛かりを考慮して与えている。本解析手法を用いて,塩化物イオンの浸透面が一面のみのコンクリート中の塩化物イオン量を予測したところ,幾つかの実測結果を良く表す結果を得た。また,本解析手法は,柱・梁の隅角部のように塩化物イオンの浸透面が二面である場合や,鉄筋周りの塩化物イオン量も精度良く解析できるよう,二次元の塩分浸透解析も可能にしている。 来年度は,上述の解析手法を用いて,様々な塩害環境下に置かれた鉄筋コンクリート構造物中の鉄筋周りの塩化物イオン量の経時変化を求め,これに腐食速度を考慮する事により鉄筋コンクリート構造物の劣化進行状況を予測する手法を開発する予定である。
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