2001 Fiscal Year Annual Research Report
人間と状況とのインタラクションとしての創造的設計プロセスの研究
Project/Area Number |
13650667
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤井 晴行 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (50313341)
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Keywords | 建築 / デザイン / 意図 / 行為 / 状況性 / 創造性 |
Research Abstract |
人間と環境とのインタラクションが惹き起こす複雑な現象の背景にある単純なメカニズムを探るために、人間-環境系シミュレーション手法を拡張した。具体的には、環境の知覚と行動とを結合する認知プロセスを環境とのインタラクションによって自己組織化する微視的な計算モジュールとして遺伝的プログラミング手法を組み込んだ。また、複雑系科学の考え方を導入し、局所的システム(認知プロセス)の微視的なふるまい、局所的システムと大域的システム(環境)との交互浸透的なふるまい、大域的システムを巨視的なふるまいの間の関係を表現する計算モジュールのプロトタイプを考案した。前者モジュールの有効性を確認するために、環境や自己の状態を感知及び変更する行動の能力を潜在的に有する行為者モデルが環境に適合するように認知プロセスを自己組織化することによって呈するようになるふるまいに建築計画的な解釈を与えられることを検証した。この内容を論文「意図的にみなせる行動の発生に関する思考実験」として発表した。後者モジュールの有効性確認のため、複数の行為者モデルが相互作用し、かつ、行為者モデルと環境とが相互作用する系の例として、学術組織のある側面を捉えるいくっかの社会システム・モデルを構築した。この内容を論文「複雑系モデルに基づくアカデミックソサエティの盛衰予測に関する研究」として発表した。両モジュールの有効性を検討した結果、建築デザインのプロセスにおける特徴的なふるまいを再現するモデルを構築し、そのモデルによって組織化された行為者モデルの認知プロセスを分析することにより、建築計画や建築デザインの背後にある人間の行為に関する普遍的な原理を探究することが可能であるとの知見を得た。 次年度は認知プロセスの微視的モジュールに、演繹、帰納、発想、類推などの機構を導入し、設計プロセスにおける創造的行為が再現できるか否かを検証する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 藤井晴行, 谷本潤: "意図的とみなせる行動の発生に関する思考実験"日本建築学会計画系論文集. 547. 149-155 (2001)
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[Publications] 谷本潤, 藤井晴行: "複雑系モデルに基づくアカデミック・ソサエティの盛衰予測に関する研究"日本建築学会計画系論文集. 547. 255-262 (2001)