2004 Fiscal Year Annual Research Report
中古住宅に期待する財産価値が住宅管理に与える影響、に関する日米比較研究
Project/Area Number |
13650671
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
山崎 古都子 滋賀大学, 教育学部, 教授 (50024013)
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Keywords | 中古住宅市場 / 耐用年数 / 寿命観 / 建て替え / 仮の宿 / 資産観 / 住宅管理 / 日米比較調査 |
Research Abstract |
本研究は日米における既存住宅の需給構造と市場の仕組みの違いに焦点を当て、循環型既存住宅の維持を阻害する要因を解明した。米国との比較によって、日本の中古戸建住宅の評価と、需要特性が鮮明になり、市場の脆弱な要因を浮き彫りにできた。中古住宅市場は既存住宅の評価や耐用年数の予測に作用し、経年が資産観や、住宅管理行為に影響を及ぼし、建て替えを促すことを明らかにした。以下に研究結果を要約する。中古住宅需要の特徴:日本の中古住宅率は米国の4分の1であるが、中古住宅を検討した者は需要者の4割に達した。購入に至らない理由は安全・設備性能に対する不安であり、中古住宅市場の仕組み(情報の公平性や第三者機関による評価の客観性の不足等)に起因している。その結果中古住宅の需要は「仮の宿」で、その後の建て替えを正当化する。住宅の資産性と既存住宅の価値:米国では住宅の資産性は投資価値で決まる。古い住宅の歴史性は大きな投資要因であり、経年と経済評価は無相関である。これに対して日本では質の高い住宅には遺産価値を認めるが、一般都市住宅の経済評価は経年的と相関が強く、減価する。むしろ、現所有者の期間中に建て替えを期待する傾向がある。耐用年数と建て替え:従来の住宅の平均寿命の計算は滅失住宅を資料に用いてきたが、本研究で現住宅の予測耐用年数の指標化を試みたところ、日本が約41年で、米国が約99年になったが、依然として日本は短く、建築後40年で6割が建て替わる。日本の地方住宅は都市の4倍あり、耐用年数及び寿命観が短いのは日本の都市住宅の特徴である。建て替え指向は所有者の入れ替わりによって促され、住宅をストックする妨げになる。居住者の管理保全と行動:入居時の予想居住年数は保全行為を促す要因である。米国の居住者の大半が「DIY」をするが、日本では半数以下で、特に生活技術及びその教育について男性の日米格差は歴然としていた。
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