2001 Fiscal Year Annual Research Report
小屋組の構法原理からみた日本の伝統的木造建築の発達史に関する研究
Project/Area Number |
13650683
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
堀江 亨 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (70256832)
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Keywords | 木造建築 / 小屋組 / 民家 / 棟束組 / 母屋組 / 扠首組 / 合掌 / 上屋梁 |
Research Abstract |
1)日本および欧州の木造建築の小屋組に関して言及した文献を概観し、小屋組構造の原理、分類概念および発達過程に関する言説を再整理した。すなわち小屋組の主たる構造原理を垂木の扱い方により懸垂木と立垂木に大きく分類し、懸垂木の原理を用いた系統を、棟束組(棟持柱構造を含む)、母屋組(束立て屋根および重ね梁屋根)、扠首組に分類し、また立垂木の原理を用いた系統として、合掌(陸梁のある場合とない場合)を掲げた。それぞれの分類概念を構法的に整理し、我が国で通常「扠首」「合掌」「和小屋」「洋小屋」と呼ばれている小屋組形式との対応および定義の曖昧さについて考察した。(公表済み(11.研究発表〔図書〕を参照)) 2)国内の民家建築に関して重要文化財修理工事報告書等から小屋組構法の概略を検索し、地域差・年代差を勘案し主要な133棟について、その基本的な諸元をデータベース化した。すなわち小屋組の主構造については棟束組・母屋組(束立て屋根=和小屋)・扠首組の分類を行い、軸部の関係については小屋組構成材と軸部との接点の数、上屋梁間、上屋梁の有無および厚さ、小屋梁と柱の接合形式(折置または京呂)をチャート化した。 3)茨城県つくば市などにおける民家建築の実地調査により、一地域における小屋組構造の変遷を分析した。つくば市の調査では17世紀前期から20世紀までに建てられた民家の架構を観察した結果、最も古式の小屋組である扠首と真束を併用した基本構造が、時代とともに細部は変化するものの、幕末まで安定的に存続していることがわかった。
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