2003 Fiscal Year Annual Research Report
都市に自然環境を創造する価値をCVMで計測する手法の開発
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13650685
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
桜井 慎一 日本大学, 理工学部, 教授 (30170640)
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Keywords | 環境創造 / 自然の再生 / CVM(仮想評価法) / 人工なぎさ / 非利用価値 / アンケート調査 / 価値認識 |
Research Abstract |
「自然(天然)の干潟を保全する政策」と「人為的に人工なぎさを創造する政策」には、市民の捉える経済的価値に違いがあるかどうかを明らかにするための調査・解析を行った。仮想政策の対象地を、東京湾および伊勢湾に設定し、保全すべき天然干潟としては東京湾の「三番瀬」と伊勢湾の「藤前干潟」を、また、人工干潟造成についても東京湾と伊勢湾で実施することを想定した。CVMのためのアンケート調査は、仮想政策対象海域に面した東京都江戸川区と愛知県名古屋市とし、これら計8つの仮想政策に対してそれぞれ個別の住民に回答させる形式で行い、延べ1475票の有効回答が得られた。 CVMによって,それぞれの仮想政策に対する支払意志額を算定し,そこで得られた金額や賛成理由・反対理由などを相互に比較した結果,次のような知見を得ることができた。(1)天然干潟の保全だけでなく人工なぎさ造成の価値も、当該海域近傍の住民だけでなく、そこから300km遠方の住民からも認識されている。(2)人工なぎさ造成に対する価値認識は、天然干潟の保全の価値に比べて、当該海域からの距離に応じた減衰が顕著である。(3)天然干潟に対する認識と同様に、人工なぎさ造成にも将来世代へ自然環境を残したいという遺産価値として高く評価している。(4)既存の先行事例の存在やその効用を認知している人は、天然干潟とほぼ同等の価値を人工なぎさにも見いだすことができる。
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[Publications] 柴 有香, 桜井慎一: "自然の干潟の保全と人工なぎさ造成に対する価値認識の差異に関する研究"土木学会土木計画学研究・論文集. 第20号. 261-267 (2003)
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[Publications] 長井良平, 桜井慎一, 柴 有香: "知名度が自然の干潟の経済価値に及ぼす影響に関する研究"土木学会第28回土木計画学研究・講演集. 第28号(CD-ROM版(論文番号7)). (2003)
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[Publications] 長井良平, 桜井慎一, 柴 有香: "知名度が自然の干潟の経済的価値に及ぼす影響に関する研究 -諫早湾干潟と荒尾海岸干潟の比較-"2003年度日本建築学会大会(中部)学術講演梗概集. A-2. 443-444 (2003)
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[Publications] 柴 有香, 桜井慎一: "人工なぎさ造成制作に対する価値認識と制作力の距離の関連性 -東京湾から1200km圏の2都市に着目して-"2003年度日本建築学会大会(中部)学術講演梗概集. A-2. 445-446 (2003)