2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13650702
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤澤 彰 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (10190026)
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Keywords | 出雲大社 / 出雲大社本殿 / 宝治度造営 / 金輪造営図 / 復元 |
Research Abstract |
2000年4月以降に出雲大社境内遺跡から発掘された巨大木柱は、古代出雲大社本殿の遺構であり、「金輪御造営図」はそれに密接に関連する指図であるとの前提のもとに本殿復元の作業をすすめてきた。しかし、2002年度に実施された年輪年代測定、C14年代測定などの科学的分析により、遺構の年代が特定され、巨大木柱は宝治2(1248)年に遷宮された本殿のものであると断定されるにいたった。これによりそれまでの復元作業は全面的に見直すことになった。 古代本殿とすれば、(1)発掘の成果(3本の組柱、柱径、地表面での平面規模など)、(2)「金輪御造営図」から読み取るデータ、などが復元にあたっての最重要な資料であった。宝治度本殿とするとさらに(3)「出雲杵築社遷宮神宝注記」(『鎌倉遺文』7112、建長元年(1249))などの宝治度本殿に関する造営文書の吟味が必要になってくる。 すでに福山敏男博士によって(3)「出雲杵築社遷宮神宝注記」に記される壁代・御帳などの殿内調度の分析により、方28尺(8.48m)(柱径2尺5寸と仮定)の小型の本殿が復元されている。これまでは、この小型の本殿と今回の発掘遺構の本殿は無関係のものと考えられていた。しかし、両者は同一時期のものということになり、(1)発掘の成果によれば、地表での本殿の規模は梁行13.4m、桁行11.6mであり、規模に大きな相違が見られる。また、従来の研究によれば、(2)「金輪御造営図」は寸法の比例関係が正確に描かれている指図とされ、方40尺(12.12m)の本殿が推定されている。つまり、無視することのできない(1)(2)(3)の重要資料が相互に矛盾することが明らかになった。 今後は(1)(2)(3)の資料の矛盾を最小にするような解を求める必要があり、柱のころびなどを考慮することになろう。
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Research Products
(1 results)