2003 Fiscal Year Annual Research Report
残存資料の収集整理を基本とした炭鉱関連建造物に関する研究
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13650706
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
川上 秀人 近畿大学, 九州工学部, 教授 (10038052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 高弘 有明工業高等専門学校, 助教授 (60238988)
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Keywords | 三井鉱山 / 三菱鉱業 / 麻生家 / 高取家 / 貝島家 / 社宅 / 二階建社宅 |
Research Abstract |
三井文庫寄託の『三池鑛業所沿革史』『田川鑛業所沿革史』『山野鑛業所沿革史』『本洞鑛業所沿革史』『松島炭礦沿革史』『砂川鑛業所沿革史』『芦別鑛業所沿革史』『三井美唄鑛業所沿革史』『珊瑠鑛業所沿革史』等から炭鉱関連施設に関する記録と図面を収集した。図面は社宅が主で、珊瑠鉱業所の役員倶楽部・共愛倶楽部、美唄鉱業所・松島炭礦の所長社宅の図面は珍しい。それらの資料の一部を用いて『三井鉱山(株)各鉱業所における二階建従業員社宅について」を執筆した。『三菱社誌』からは炭鉱関連施設の建設に関わる記事を収集した。尚、施設に関する記事は明治中期から大正期にかけてのものが主であった。 九州大学石炭研究資料センター所蔵の麻生家文書の中から工事日誌や建設にかかわる文書、間取図等を収集した。例えば、間取図では明治35年の「役員舎宅弐軒續壱棟」や明治36年の「立岩家」等で、いずれも貴重な原資料である。麻生セメント(株)所蔵の職員社宅の管理台帳には131棟(1戸建62棟・1戸建二階建7棟・2戸建62棟)と寮・倶楽部が含まれている。殆どの社宅が現存しておらず、貴重な資料ではあるが、間取図だけで詳細なデーターはない。大規模な二階建社宅が他の炭鉱の社宅と比べて特殊である。 現存する建造物の調査は、旧中島邸(佐賀県多久市)、旧高取新宅(佐賀県唐津市)、旧高取邸(重文、唐津市)、旧貝島太助邸茶室(福岡県鞍手郡鞍手町)、旧貝島家友泉亭別邸(福岡市)、旧三菱上山田炭鉱二階建社宅(福岡県山田市)で実施した。これらの中で、旧中島茂邸では主要な5部屋の展開を実測し、旧貝島太助邸茶室では平面と展開を実測した。旧三菱上山田炭鉱の二階建社宅は昭和3年の建設で、筑豊における貴重な二階建社宅であり平成15年12月の解体前に平面の実測を行った。旧高取邸(唐津市)は保存修理工事中であったが、居室棟の大正7年(墨書)建設を確認した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 森山恵香, 松岡高弘, 川上秀人, 北野隆: "筑豊における炭鉱主の住宅の平面変化に関する考察"日本建築学会計画系論文集. 第569号. 209-216 (2003)
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[Publications] 松岡高弘, 川上秀人: "三井鉱山(株)各鉱業所における二階建従業員社宅について"有明工業高等専門学校紀要. 第40号. 29-46 (2004)
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[Publications] 森山恵香, 松岡高弘, 川上秀人, 北野隆: "筑豊における炭鉱主の住宅の二階について"生活文化史. 45号. (2004)