2001 Fiscal Year Annual Research Report
ランガサイト系新圧電結晶の結晶構造に基づく材料設計
Project/Area Number |
13650738
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
大里 齊 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (20024333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿本 健一 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (40335089)
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Keywords | 圧電結晶 / SAWフィルター / 結晶構造解析 / ランガサイト / 単結晶 |
Research Abstract |
本研究では、高度情報化社会に対応した無線通信技術に必要不可欠なキーデバイスである広帯域SAWフィルター用圧電単結晶として注目されているランガサイト(La_3Ga_5SiO_<14>)型単結晶の結晶構造解析を行った。試料として用いた単結晶は、3成分系ランガサイト3種(R_3Ga_5SiO_<14>、R=La,PrまたはNd)、4成分系ランガサイト4種(A_3BGa_3Si_2O_<14>、A=CaまたはSr、B=NbまたはTa)の計7種類である。これらの単結晶について4軸型X線回折装置により回折強度の測定を行い、得られたデータを用いて最小二乗法プログラムRADY(S.Sasaki,1982)により結晶構造の精密化を行った。 精密化により得られた結果から、結晶構造と圧電特性との相関性を、分極方向である[100]方向の結晶構造的特徴から検討した。圧電特性は、[100]方向のAサイト(8配位十面体)の長さA_Lに比例し、Bサイト(6配位八面体)の長さB_Lに反比例する傾向が明らかとなった。圧電特性がA_Lに比例するのは、A_Lが増加すると分極方向においてAサイトはより歪みやすい形状へ変化するためである。圧電特性がB_Lに反比例するのは、B_Lが増加すると、分極方向においてBサイトはより歪みやすい形状へ変化し、これにより相対的にAサイトが歪みにくくなるためである。 この結晶構造の変化から、陽イオン置換に伴う圧電性の変化について明らかとした。Aサイトをより大きなイオンで置換すると、分極方向の長さA_Lが選択的に増加するため圧電特性が向上する。Bサイトをより大きなイオンで置換すると、全体が膨張するため、B_Lが増加し、圧電特性が減少する。これらの理由により、より優れた特性を持つ圧電材料設計の指針としては、Aサイトをより大きなイオンで、Bサイトをより小さなイオンで置換することが挙げられる。
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Research Products
(1 results)