2001 Fiscal Year Annual Research Report
低周波吸振機能を有する電気レオロジーゲル(ERG)の開発
Project/Area Number |
13650749
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
花岡 良一 金沢工業大学, 工学部, 教授 (90148148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深見 正 金沢工業大学, 工学部, 助教授 (60247434)
高田 新三 金沢工業大学, 工学部, 教授 (70064467)
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Keywords | 粒子分散系ER流体 / シリコーン油 / ERシリコーンゲル / ヒドロシリル化反応 / ER効果 / 粘弾性特性 / 粒子の鎖状 / 無機・有機複合構造 |
Research Abstract |
一般に、粒子分散系ER流体は分散媒と粒子の僅かな比重差によって粒子の沈降が生じ、これがER特性の不安定性を導き、応用機器システムの信頼性を損ねることが重要な問題として指摘されている。本研究では、この問題を解決するため、無水性ER流体のゲル化を提案し、ER粒子を分散したシリコーンゲルを試作して直流電界印加時の粘弾性特性とER効果を調べた。 シリコーンゲルは、ER流体用に設計された固体粒子をジメチルシリコーン油に30wt%濃度で分散した後、ハイドロジェンシリコーンと不飽和基含有化合物の添加によるヒドロシリル化反応(Si-H結合)によって生成された。使用したER粒子は、平均直径が10μmの無水性球形粒子であり、アクリル酸ブチルと1,3-ブタンジオールメタクリレートの共重合体からなるポリマー粒子のコア表面に酸化スズと酸化チタンの微粒子を1μm程度の厚さで担持させた無機・有機複合構造からなる。 試作されたゲルは、その内部の粒子がゲル組織に捕獲される為、粒子の沈降問題は全く生じなかった。また、極めてソフトな材料であるので、電界の印加によって粒子の凝集効果(粒子の鎖状形成)が生じ、ER効果を発現することが分かった。更に、ゲルの粘弾性特性として損失正接と複素弾性率測定し、材料評価を行ったところ、本ゲルは粘性要素の大きな材料であるが粘弾性体として振る舞うことが分かった。これらの結果より、試作したシリコーンゲルは、粒子の沈降問題を考慮外としてER効果を発揮できる新しい材料であると言える。 今後は、このゲルを利用した工業的応用を検討し、吸振、防音などを目的とした装置の設計、試作を行う予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 花岡良一, 高田新三, 中澤優一, 深見正, 桜井宏治: "分散系シリコーンゲルの粘弾性特性に関する電界の効果"電気学会論文誌 A. 122巻・2号. 157-163 (2002)
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[Publications] R.Hanaoka, S.Takata, H.Fujita, T.Fukami, K.Sakurai, K.Isobe, T.Hino: "Electroviscoelastic Properties in ER Gel of Disperse System under DC Electric Field"The 8th Intern. Conf.on ER Fluids ans MR Suspensions. ERMR2001. Session C-2 (2001)
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[Publications] 花岡良一, 高田新三, 中澤優一, 深見正, 桜井宏治: "分散系シリコーンゲルの粘弾性特性に関する電界の効果"2001年電気学会 基礎・材料・共通部門大会講演論文集. 12-5. 315-320 (2001)
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[Publications] 中澤優一, 藤田普方, 花岡良一, 高田新三, 深見正, 桜井宏治: "分散系ERゲルの粘弾性特性に及ぼす電界の効果"平成13年度電気関係学会北陸支部連合大会講演論文集. A-109. 121 (2001)