2002 Fiscal Year Annual Research Report
Ni基超合金の弾性率ミスフィット制御によるラフト化の促進
Project/Area Number |
13650758
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田中 克志 京都大学, 工学研究科, 助手 (30236575)
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Keywords | 超合金 / ラフト組織 / 弾性率 / 異方性 / 弾塑性 / 正方歪 / クリープ / マイクロメカニクス |
Research Abstract |
歪場分布の計算時に弾性率ミスフィットを考慮しない一次近似の計算では,ラフト化に伴う弾性歪エネルギーの変化は従来から報告されているNabarroらの結果と一致し,現実のラフト構造形成の方向とも一致する.しかしながらあらわに弾性率ミスフィットを考慮し,巨視的な変形を考えた場合は弾性歪エネルギーの観点からはラフト構造は外力の下でも安定化されない.ラフト構造が外力の下で安定化するのは外力のポテンシャルエネルギーまで含めた全力学的エネルギーを考慮した場合である.この場合生成するラフト構造は必ず横ラフトであって,この形成に格子定数ミスフィット,外力が圧縮,引張応力であることに依存しない.これは実験結果とは一致せず,ラフト構造形成について全てを弾性論で議論することは不可能であることが初めて示された. 次いでクリープ変形初期に導入される転位の存在を考慮した計算をおこなった.その結果,転位により誘起された正方対称の歪場の影響によって実験で観察されるとおりの格子ミスフィット,外部応力依存性を持つラフト構造の形成が起こることが示された.したがって,少なくとも縦ラフトの形成にはクリープ変形初期に導入される転位の存在が本質的な役割を果たしていることが明らかとなった 純弾性論から導かれるラフト化の駆動力は,まさにγ,γ'相の間の弾性率ミスフィットによるものであることから,弾性率ミスフィットが大きくなるように制御することはごく初期におけるラフト化の促進に役立つと考えられる.一方で,変形転位導入後のラフト化においては,ラフト構造形成にかかる力のほとんどが格子定数ミスフィットの大きさによって決まっている.したがって,現実のクリープ変形においてラフト化を支配しているのは格子定数ミスフィットであり,弾性率ミスフィットはそれを強調する効果として表れるものと結論付けられた.
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Research Products
(1 results)