放電プラズマ焼結法によるTiB_2-B_4C系複合セラミックスの作製と機械的特性評価

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13650769
• Research Institution: Nagano National College of Technology
• Principal Investigator: 森山 実 長野工業高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (40141890)
• Keywords: 硼化物系複合セラミックス / 常圧焼結 / 焼結助剤 / 機械的特性 / 電気伝導度 / 金型素材

Research Abstract

TiB_2-B_4C系複合セラミックスは、高い導電性、硬度、強度、靭性を示し、特に放電加工可能なセラミックス型素材、工具材料として極めて有望である。著者は、これまでホットプレス(HP)法及び放電プラズマ焼結(SPS)法を用いて特性評価を行い、実用レベルに近い値が得られているが、両法とも黒鉛型を用いた高温焼結をしているため、型の制約がない常圧焼結法の開発を試みた。常圧焼結の場合、焼結を促進する適切な焼結助剤を発見することが最重要課題であり、本研究では、この調査を実験的に行った。
TiB_2とB_4C原料粉末の組成比を一定(60mol%:40mol%)とし、そこに焼結助剤として金属系粉末(C、Fe、Co、Ni、C+Feの5種類)をそれぞれ2mol%、セラミックス系粉末(Al_2O_3、Y_2O_3、AlN、TiCの4種類)をそれぞれ10mol%添加し、ボールミルにより24h混合した。顆粒化後、室温で金型プレス成形し、さらに200MPaの冷間等方圧を加え、Ar雰囲気中1950℃で1時間常圧焼結した。得られた焼結体の機械的及び電気的特性を評価し、常圧焼結に有効な助剤を検討した。
特性測定を行った結果、AlNを焼結助剤として添加した場合、他の助剤よりもはるかに良好な特性を得ることができた。具体的には、助剤無添加値→AlN添加値で示すと、嵩密度:2116→2648kg・m^<-3>、相対密度:59.7→75.1%、ビッカース硬度:0.287→5.19GPa、3点曲げ強度:38.6→220MPa、破壊靭性:0.749→3.49MPa・m^<1/2>、ヤング率:100→270GPa、電気伝導度1.23kS/m→458kS/mと大幅に向上できた。しかしながら、本セラミックスは難焼結性であるため、HP法やSPS法によるものと比較して1/3〜1/2程度の特性であり、常圧焼結法では高密度品を得ることが容易でないことが分かった。