2001 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒レーザー露光による非晶質半導体の光化学加工
Project/Area Number |
13650790
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Research Institution | Miyagi National College of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 吉朗 宮城工業高等専門学校, 材料工学科, 助教授 (80133932)
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Keywords | フェムト秒レーザー / 光膨張 / カルコゲナイドガラス / As_2S_3 / レーザー加工 / 2光子吸収 |
Research Abstract |
超短光露光によるカルコゲナイド系非晶質半導体の光加工法を確立するため、As_2S_3ガラスをモデル試料としてTi-サファイア-レーザー光(波長800nm,パルス幅130〜210fs)照射にともなうガラス表面の変化をレーザー顕微鏡により観察した。以下のことが明らかとなった。 レーザー強度を0.41mWに選び、焦点距離40mmのレンズで試料表面に集光したところ、直径約20μmの露光部に隆起:光膨張が観測された。光膨張は露光を重ねるに連れて成長し、128秒の露光で高さ0.9μmに達した。同程度の光膨張を得るのに従来の定常光露光では1000秒かかっていたのに比して、今回の超短光露光の時間は約1桁短い。 レーザー強度を0.21〜0.66mWの範囲で変え、光膨張の成長の様子を観察したところ、成長速度はレーザー強度の2乗に比例して急激に速まることがわかった。さらに、レーザー光自身の透過率の強度依存性を測定したところ、レーザー光がそれ自身の強度の2乗に比例して減少することがわかった。以上の結果は、As_2S_3ガラスの光膨張が透明域(波長800nm)の超短光の2光子帯間励起により誘起されていることを示す。このことは、レーザー光強度の調節によりガラス中への侵入長を制御できること、即ち、従来の定常光露光での侵入長による加工サイズと加工可能材料の制限から開放されることを意味する。 以上の実験は、すべて1kHzという高繰り返しのレーザー光を用いて行ってきた。このため、光励起の際に同時に発生する熱の蓄積により表面が損傷し、光膨張は高々1.1μmに止まっている。そこで、現在はパルスセレクターによりレーザー光の繰り返しを10Hz以下に下げ、光膨張に最適な露光条件を決定することを試みている。
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