2002 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子集団の基板上メゾスケール秩序構造形成過程の動力学
Project/Area Number |
13650812
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宮原 稔 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60200200)
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Keywords | ナノ粒子 / 構造形成 / 秩序構造 / ブラウン動力学 / Langevin方程式 / 原子間力顕微鏡 / サファイア / シリカ粒子 |
Research Abstract |
規則配列あるいは秩序分散した粒子集団が示す特異な性質は,21世紀のインフラを担う高効率・高機能材料への応用が期待されているが,その開発には,粒子-粒子間および粒子-基板間相互作用や操作条件などがどのように影響するかを予測可能な動力学的シミュレーション手法が切望される現状にある。本研究では,分子動力学法(MD)とも離散要素法(DEM)とも異なる,いわばナノ粒子動力学と呼ぶべき,メゾスケールコロイド粒子シミュレーション手法の構築を目指している。本年度の結果概要は以下の通りである。 1.理論的検討:これまでに開発したブラウン動力学シミュレーション手法を用い,電解質水溶液中の静電分散安定コロイド粒子系の,反対荷電を持つ基盤への吸着過程を広範にシミュレートし,秩序構造形成過程を解析した。その結果,1)秩序構造を決定づける因子が,これまでに提案されているような相互作用「ポテンシャル」ではなく,我々が「一方向平均力」と名付けた相互作用「力」であることを明らかにし,2)この因子を基礎にすれば,種々の電解質濃度での秩序構造の被覆率が推定でき,粒子間隔を制御した構造形成が可能であることを示し,さらに,3)構造形成過程が本質的にstochasticな過程であることを明らかにすると共に一方向平均力を基礎にその生成確率を時間に対して推定するモデルの開発に成功した。 2.実験的検討:粒子-基板間に静電引力を与える目的で,サファイア基板とシリカ粒子,および,マイカ基板とカチオン性ポリスチレン粒子の組み合わせで吸着実験を行い,SEMおよびAFMにより観察した。その結果,表面上での粒子吸着構造生成の速度過程を明らかにすると共に,基板上での粒子の移動度が,秩序構造形成に極めて多大な影響を与えることを,シミュレーションと比較しつつ,明らかにした。 以上の検討により,粒子秩序構造形成に関する詳細な情報を得るためのメゾスケール動力学手法の構築に成功するとともに,実験・理論の両面で,構造形成過程の詳細な解析により,種々の重要な過程の工学的モデル化をなし得たと考える。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Minoru Miyahara, Satoshi Watanabe, Ko Higashitani: "Brownian Dynamics Simulation of Order Formation by Colloidal Nanoparticles Adsorbing onto a Solid Surface"J. Chem. Ind. Eng.. 53. 246-248 (2002)
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[Publications] Minoru Miyahara et al.: ""Adsorption and Order Formation of Colloidal Nanoparticles on a Substrate Studied with Brownian Dynamics Simulation", in Proceedings of the World Congress on Particle Technology 4, J. Raper, ed., 236"Committee of World Congress on Particle Technology. 1-8 (2002)