2002 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ空間-有機-無機3重ナノ構造体の分子認識能と水中有害分子吸着材の設計
Project/Area Number |
13650844
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
犬丸 啓 広島大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80270891)
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Keywords | ナノ構造 / 有機無機複合体 / 分子認識 / 内分泌攪乱物質 / 環境ホルモン |
Research Abstract |
高濃度の共存物質に阻害されることなく低濃度有害物質を除去するには,分子認識機能が不可欠である.我々が堤案したメソ細孔シリカ内に構築した「ナノ空間-有機-無機3重ナノ構造」において,代表的な「環境ホルモン」であるノニルフェノール(NP)分子は,ナノ空間を拡散し、有機疎水層-無機親水表面に分子認識され吸着する.昨年度の成果をふまえ,今年度は分子認識吸着の機構,および水吸着挙動を調べた.この材料は水中に投下して用いるため,水吸着は極めて重要な因子となる.メソ多孔体のAl添加MCM-41をC_5H_<11>Si(OEt)_3,C_8H_<17>Si(OEt)_3,C_<12>H_<25>25Si(OEt)_3とトルエン中で反応させ有機修飾体を得た.有機物の吸着は約数ppmの,水溶液に試料を添加し、残存量を液クロで調べた。 オクチル修飾した多孔体の水吸着等温線を室温で測定すると,水の毛管凝縮が起こらないことがわかった.窒素吸着では細孔内に分子吸着可能なナノ空間が修飾前の細孔容積の約半分検出される.このことは,ナノ空間への水の侵入による有機物吸着阻害が起こりにくいことを表しており,疎水ナノ空間の際だった特徴である.アルキルフェノールのアルキル基の大きさを変えて吸着特性を調べると,C_9H_<19>->>C_5H_<11>->無し(フェノール)となり,アルキル基の疎水性を鋭く認識している.一方,分子の親水基をアミノ基としたn-ヘプチルアニリンを吸着させたIRスペクトルから,アミノ基が無機内表面と直接相互作用していることが明らかとなった.これらの結果から,ナノ構造中の有機層と無機表面が協奏して認識サイトを形成する新しい分子認識機構が証明された.
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