2001 Fiscal Year Annual Research Report
DNAセンシング用蛍光蛋白質の開発とサルモネラ属の高感度検出
Project/Area Number |
13650849
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
成田 光章 東京農工大学, 工学部, 教授 (40015102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 裕美 (株)海洋バイオテクノロジー研究所, 釜石研究所, PD研究員 (10313305)
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Keywords | DnaA / 蛍光修飾蛋白質 / 蛍光共鳴エネルギー転移 / PCR産物 / サルモネラ属 / 蛋白質工学 / 部位特異的変異 |
Research Abstract |
サルモネラ属検出試験は疫学的、医学的、社会学的に重要であり、PCR等の遺伝子工学的手法を利用することによりその迅速化が計られてきた。一般にPCR産物はアガロースゲル電気泳動により同定されるが、非特異的増幅もあるので特定の微生物の検出を行う場合に信頼に足るほど正確な方法とはいえない。そこでPCR産物の部分に相補的な配列を持つDNAプローブを用いてハイブリダイゼーションさせることにより検出することも考えられるが、PCR産物は2本鎖であり短いDNAプローブはハイブリダイゼーションしにくい。そこで2本鎖DNAの特異的塩基配列を認識する蛋白質を用いれば、これは直接PCR産物を認識するので極めて迅速な測定が可能になる。また検出には蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)を用いれば結合しなかった分子を分離する作業が必要なくなるので更に迅速化が期待できる。そこでサルモネラ属の検出を行うために2本鎖DNAの特異的配列を認識するDnaA蛋白質を蛋白質工学により改変して蛍光修飾し、この蛋白質とPCR産物の結合をFRETで検出するシステムの開発を目的として研究を行った。 Salmonella enteritidisのDnaA蛋白質を部位特異的変異法で改変してfluorescein-5-maleimide(F5M)で標識した。またPCR産物は5'端をcarboxytetramethylrhodamine(TAMRA)で標識しF5Mの励起波長470nmで励起し、TAMRAの蛍光波長574nmでの蛍光を測定した。その結果DnaAの特異的認識配列を含んだPCR産物の濃度を上昇させるに従い蛍光強度の上昇が見られ、特異的認識配列を含まないPCR産物の場合は蛍光強度の変化は観察されなかった。このことから蛍光修飾DnaA蛋白質と蛍光修飾プライマーを用いて増幅させたPCR産物を用いることによって単に混合するだけですぐに特異的配列を持つDNAをFRETで検出できる測定系の構築が確認された。今後更に感度を上げるための条件検討などを行う。
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