2002 Fiscal Year Annual Research Report
キャピラリー電気泳動流動反応器の開発と速度論的高性能錯体システムへの応用
Project/Area Number |
13650864
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
星野 仁 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20124620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
壹岐 伸彦 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50282108)
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Keywords | 金属錯体 / キャピラリー電気泳動 / 解難反応速度 / 金属イオン分析 / ホルマザン / 高性能液体クロマトグラフィー / ベリリウム / ニッケル |
Research Abstract |
平成14年度は,キャピラリー電気泳動流動反応器(CER)を用いるホルマザン錯体の速度論的安定性の解明と,新奇の速度論的高性能錯体の探索について,重点的に研究を行った. 1.ホルマザン錯体の速度論的安定性の解明を目的として,ホルマザン化合物1,5-bis(2-hydroxy-5-sulfphenyl)-3-cyanoformazan(HSCF),およびその類縁体のCEにおける金属イオン検出能に対する置換基効果を調べた.金属イオン選択性に対する置換基効果は特に現れず,ホルマザン錯体の解離不活性性はO, O, N, Nの四座配位の比較的剛性の高い錯体の構造に起因するものと考察した.一方,Zn(II)-HSCF錯体の平衡論的および速度論的安定性に関する定量的な評価を行った.CER法で測定したZn(II)-HSCF錯体の解離反応速度定数は10^<-5>〜,10^<-4>-S^<-_1>オーダーにあり,そのpH依存性から酸触媒的な挙動を示すことがわかった.安定度定数(10^<24.2>)からZn(II)-HSCF錯体は平衡論的に極めて安定であるが,キャピラリー分離過程における濃度プロファイルの推算から,錯体バンド内における遊離の配位子濃度は極めて低く,むしろ錯形成平衡は錯体解離の方向に傾くことがわかった.すなわち,キャピラリー分離過程は速度論支配であり,CEにおける金属錯体検出の可否は錯体の解離反応速度定数に依存することがわかった. 2.新奇の速度論的高性能錯体の探索を行ったところ,Be(II)およびNi(II)イオンの各々のプレカラム誘導体化試薬として2-(2'-Hydroxyphenyl)-10-hydroxvbenzo[h]quinoline(HPHBQ)およびthiacalix[4]arenetetrasufonate(TCAS)の有用性を見出した.Be(II)およびNi(II)に対する極めて実用性の高い高感度・特異的検出HPLC計測システムの開発に成功した.Be(II)-HPHBQ系の検出限界は4.3pM, Ni(II)-TCAS系では5.4nMと極めて高感度であり,それぞれ多量の共存マトリックスを含む大気粉塵試料および石炭灰試料への適用が可能であった.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 星野 仁: "プレカラム錯体化/逆相分配高速液体クロマトグラフィーによる超微量金属イオンの計測法"分析化学. 51(8). 597-604 (2002)
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[Publications] Hiroaki Matsumiya, Hitoshi Hoshino: "Selective Determination of Beryllium(II) Ion at Picomole per Decimeter Cubed Levels by Kinetic Differentiation Mode Reversed-Phase High-Performance Liquid Chromatography with Fluorometric Detection Using 2-(2'-Hydroxyphenyl)-10-hydroxybenzo[h]quinoline as Precolumn Chelating Reagent"Analytical Chemistry. 75(3). 413-419 (2003)
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[Publications] 壹岐 信彦: "超微量金属錯体の速度論的識別モード-キャピラリー電気泳動システムの設計"分析化学. 51(7). 495-506 (2002)
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[Publications] H.Matsumiya, T.Ishida, N.Iki, S.Miyano: "Thiacalix[4]arenetetrasulfonate as Specific Pre-column Chelating Reagent for Nickel(II) Ion in Kinetic Differentiation Mode High-performance Liquid Chromatography"Analytica Chimica Acta. 478(2). 163-170 (2003)