2001 Fiscal Year Annual Research Report
外部反射法によるポルフィリン類の液液界面吸着体のその場測定と界面配向
Project/Area Number |
13650865
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
守屋 芳夫 秋田大学, 工学資源学部, 助手 (30241673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 信明 秋田大学, 工学資源学部, 教授 (80169193)
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Keywords | 液液界面 / 酸型ポルフィリン / 吸着状態 / 界面配向 / 外部反射 / 部分反射 / 界面濃度 / J-会合体 |
Research Abstract |
本研究は,外部反射法が多くの液液抽出系で界面吸着体のみのスペクトルを与え,かつ,その偏光スペクトルが界面分子配向に関する豊富なスペクトル情報をもたらし得ることに着目し,酸型ポルフィリン類のJ-会合体を測定対象として吸着体のキャラクタリゼーションを遂行すると共に,外部反射法(さらには部分反射法)を液液界面に対する実用的なin situ測定法として確立することにより,「液液界面ナノ領域の化学」に関する研究・開発に資することを目的としている. 平成13年度はテトラフェニルポルフィリン(H_2TPP)のトルエン(およびドデカン)と無機酸水溶液との界面におけるJ-会合体,(H_4TPP^<2+>)_nの吸着状態を解析した. 1)プリズム-セル法によって反射スペクトルを測定し,飽和界面濃度(C^s_i),会合度(n)およびピロール環の界面配向(法角φ)を化学量論的に解析した結果,トルエン-硫酸系ではC^s_i=2.6_<7X>10^<-10>molcm^<-2>,n=4,φ=19゜,またドデカン-硫酸系ではC^s_i=1.2_<0X>10^<-10>molcm^<-2>,n:未定,φ=47゜の各値を得,配向角が有機溶媒に依存して異なることが分かった.前者の系では大部分のH_2TPPがトルエン相中に溶存し,一部がJ-会合体となって界面吸着した.後者の系ではH_2TPPの大部分が界面吸着し,一部が水相にH_4TPP^<2+>として溶存したが,ドデカン相中には全く観測されなかった.後者の系について詳細に検討した結果,単層-多層吸着状態を識別する方法を見出した. 2)プリズム-セル法によりp-偏光外部反射スペクトルを測定した結果,正と負のバンドをもつスペクトルが観測され,界面選択則によって配向に関する定性的情報を得ることができ,化学量論的解析結果と照合できた. 3)作製した入射角可変装置を,購入した設備備品「CCDアレイ分光光度計」に接続し,部分反射スペクトルの入射角依存性を検討した結果,部分内部反射スペクトルでも正と負のバンドをもつスペクトルが新たに観測された.現在,速報誌に投稿準備中である. 4)上記3の部分(外部および部分内部)反射スペクトルの正負のバンドの符号に関するそれぞれの界面選択則と相補性について検討中である. 5)以前までの成果と本研究結果から得られる成果の一部につき,平成14年3月の国際溶媒抽出学会(南アフリカ共和国・ケープタウン)で発表した.
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