2001 Fiscal Year Annual Research Report
クラウン化スピロベンゾピラン誘導体の分光光度定量試薬への応用
Project/Area Number |
13650869
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
坂本 英文 和歌山大学, システム工学部, 助教授 (10192593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 恵一 和歌山大学, システム工学部, 教授 (50107140)
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Keywords | クラウン化スピロベンゾビラン / フォトクロミズム / アルカリ金属イオン / 比色定量 / 光制御 / 溶媒抽出 |
Research Abstract |
モノアザクラウンエーテルを有するスピロベンゾピラン誘導体のイオン選択性は、そのクラウンエーテルユニットならびにメロシアニン体のフェノラートイオンと金属イオンとの相互作用の程度に依存することが予想される。本年度は、脂溶性部位としてオクタデシル基を付与した化合物を合成し、それらを用いたアルカリ金属イオンの液-液抽出を行い、そのイオン抽出性を検討した。まず初めに、モノアザ-12-クラウン-4、15-クラウン-5、18-クラウン-6を有するスピロベンゾピラン誘導体を合成して、暗時におけるアルカリ金属イオンの液-液抽出により、有機相中のメロシアニン体に特有の可視領域の吸収スペクトル変化から金属イオン抽出性を評価した。その結果、アルカリ性溶液において、12-クラウン-4を有するものでは、Li^+抽出時に選択的に有機相中の可視領域の吸光度が増加した。これは、12-クラウン-4部位と選択的に錯形成したLi^+と、スピロピラン体からメロシアニン体に異性化して生じたフェノラートイオン部位とが強く相互作用して安定な錯体を生じ、有機相中に抽出されたためである。また、15-クラウン-5、あるいは、18-クラウン-6を持つものでは、それぞれLi^+とNa^+の抽出時に最も大きな吸収スペクトル変化を示した。一般的に、15-クラウン-5と18-クラウン-6はそれぞれNa^+とK^+に対して選択性を持つことが知られており、本研究で得られた金属イオン抽出選択性とは異なっている。この選択性の違いは、本研究で用いたクラウン化スピロベンゾピランのメロシアニン体のフェノラートイオンと金属イオンとの相互作用に起因するものであるものと考えられる。また、12-クラウン-4-スピロベンゾピラン誘導体を含む系で、紫外光及び可視光を照射すると、Li^+抽出能が暗時に比べて、それぞれ増加ならびに減少することを見出した。
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