2001 Fiscal Year Annual Research Report
高出力マイクロ波誘導プラズマ発光分光分析の高感度化・高速化
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13650872
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中原 武利 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20081309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安部 巖 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 講師 (60081311)
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Keywords | 高出力マイクロ波誘導プラズマ / 発光分光分析 / 分析の高感度化 / 分析の高速化 / 水素化物生成法 / 多元素同時定量 / 水素化物生成元素 / 鉄鋼分析 |
Research Abstract |
当研究室では、すでに高出力マイクロ波誘導プラズマ(MIP)発光分光分析システムのインスツルメンテーション(装置化)は殆ど完了しているが、さらに種々のプラズマガスを用いて各種の特性を評価し、研究の初年度であるので、高出力MIP発光分光分析の高感度化について重点的に取り組み、また、装置全体のシステムを完成して分析の高速化も目指した。今年度に得られた研究結果は下記の通りである。 1.最大1.5kWの高出力で得られるMIPは、従来の誘導結合プラズマ(ICP)と同様にトーナツ構造を有するプラズマであり、窒素や空気などの安価なガスを用いることができるのが、大きな特徴である。主として窒素をプラズマガスに用いる高出力窒素MIP発光分光り分析による約40元素の分析感度や検量線の直線性などを求め、ICPの場合と比較・検討した。 2.プラズマへの試料導入に、気相試料導入法として代表的で、本研究室において長年系統的に検討されている水素化物生成法を高出力窒素MIP発光分光分析に組み合わせて、分析の高感度化を試みた。最初に、分析対象元素としてアンチモンを選び、次いでテルルを対象にして、水素化物生成-高出力窒素MIP発光分光分析の新しい分析法を確立した。本法による検出限界は、アンチモン(231.147nm)に対して1.87ng/ml、テルル(214.281nm)では15.0ng/mlであった。これらの値から、本法により、通常の溶液噴霧法の場合と比較して2〜3桁の感度増大が得られたことを確認した。さらに、本法の成果を日本鉄鋼連盟から出されている鉄鋼標準試料中のアンチモン及びテルルの定量に応用し、その結果、標準値とよく一致する分析値を得ることができた。 3.さらに本研究で備品として購入した高速スキャンニング機構を現有設備に装着し、多元素分析のための高速化を目指して、装置の整備とシステム化を完了した。 今年度の研究成果を活用して、次年度は分析の高感度化と高速化を同時に前進させることが可能な体勢が整った状況である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 竹田菊男: "Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometric Determination of Ultra-Trace Elements in Electronic-Grade Water and Chemicals Using Dulcitol"Analytica Chimica Acta. 426・1. 105-109 (2001)
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[Publications] K.Takeda: "Evaluation of Outgassing Compounds from Cleanroom Construction Materials"Journal of the Institute of Environmental Science and Technology. 44・1. 28-32 (2001)
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[Publications] 松本明弘: "水素化物生成-高出力窒素マイクロ波誘導プラズマ発光分光分析による鉄鋼中のアンチモンの高感度定量"鉄と鋼. 87・6. 449-453 (2001)
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[Publications] A.Matsumoto: "Determination of Tellurium in Steels by High Power Nitrogen Microwave Induced Plasma Atomic Emission Spectrometry Coupled with Hydride Generation Technique"Analytical Sciences. 18・3(印刷中). (2002)
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[Publications] T.Nakahara: "High Power Nitrogen Microwave Induced Plasma for the Determination of Some Trace Elements in Steels by Atomic Emission Spectrometry with Hydride Generation Technique"ISIJ International. 43・3(印刷中). (2002)
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[Publications] 松本明弘: "水素化物生成-高出力窒素マイクロ波誘導プラズマ発光分光分析による鉄鋼中のヒ素およびアンチモンの同時定量"鉄と鋼. 88・5(印刷中). (2002)
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[Publications] 中原武利: "改訂五版 分析化学便覧(分担執筆)"丸善. 839 (2001)