2002 Fiscal Year Annual Research Report
持続的に使用可能な非シアン型無電解金めっき反応系の創製
Project/Area Number |
13650880
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
今林 慎一郎 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (50251757)
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Keywords | 無電解金メッキ / 非シアン / 持続的使用 / 亜硫酸ナトリウム / チオ硫酸ナトリウム / チオ尿素 / ヒドロキノン |
Research Abstract |
本年度は、めっき反応進行によって、めっき液中に含まれる物質の量の変化やそれらがめっき反応に与える影響、ヒドロキノンの反応および再生方法について検討した。 (1)金(I)イオンを還元することでチオ尿素(TU)から生成したチイルラジカルとヒドロキノン(HQ)の反応生成物であるヒドロキノンスルホン酸(HQSA)は、ODS相を持つ逆相カラムを用いたHPLCによってTU・HQと同時に定量できることがわかった。金めっき反応進行に伴うこれら3成分の量変化を追跡した結果、(1)TU量は変化しない、(2)HQ減少モル数とHQSA生成モル数はほぼ一致する、(3)HQ減少モル数と金析出モル数がほぼ対応することがわかった。 (2)HQ酸化体が溶液中に多量に存在する錯化剤の亜硫酸イオンと反応してHQSAになることが電気化学測定から裏付けられた。HQSAから電気化学還元によってHQを再生する方法について検討したが、水溶液中では電位窓の範囲内で還元反応が起こらず、有機溶媒にはHQSAは溶解しなかった。この還元反応は類似反応例の報告もなく、現在のところ、実現は難しいと判断している。 (3)HQSAがHQと同様の機能(チイルラジカルのトラップ・めっき反応を進行させる)を有することがわかった。但し、めっき速度はより小さく、液安定性に関する影響は詳細に検討していない。また、HQSA酸化体が亜硫酸イオンと反応してスルホ基が複数置換した化合物が生成することが、電気化学測定・NMRから予想された。 (4)めっき反応進行によってめっき液中に蓄積する錯化剤(亜硫酸イオン・チオ硫酸イオン)量は初期錯化剤量に比べるとわずかであり、かなり長時間めっき液を使用しなければめっき速度に影響を与えるレベルに達しないことがわかった。亜硫酸イオンだけが配位した金錯体を加えることで、金錯体の補給とめっき速度の維持が可能であると考えている。
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