2002 Fiscal Year Annual Research Report
リチウム貯蔵性金属間化合物中リチウムの占有位置と拡散挙動の解明
Project/Area Number |
13650886
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
坂口 裕樹 鳥取大学, 工学部, 助教授 (00202086)
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Keywords | Mg_2Sn / リチウム貯蔵性金属間化合物 / 負極材料 / リチウム二次電池 |
Research Abstract |
メカニカルアロイングで合成した立方晶および斜方晶のMg_2Snについて、結晶系の違いが電極特性に及ぼす効果について調べた。初期充放電サイクルにおける容量可逆性については、斜方晶Mg_2Sn電極のそれは、合金系で最も良いとされているSn_2FeやNi_3Sn_2電極の値に匹敵するものであることがわかった。また、実用化されているグラファイト電極と比較すると、不可逆容量の面ではまだ劣っているものの、放電容量そのものは上回っていることが示された。充放電サイクル前後の電極に対して行なったX線回折測定の結果は、Mg_2Sn電極の充放電反応機構が、主としてLiとSnとの合金化-脱合金化であること示唆した。ただし、リチウムははじめにMg_2Snの結晶格子間隙に取り込まれ、その後スズと反応することで化合物の分解が起きるものと推察される。Mg_2Snの立方晶単一相電極、斜方晶単一相電極および両者の混合相からなる電極に対する放電容量の充放電サイクル試験を行ったところ、斜方晶電極は全サイクルにわたって立方晶電極より放電容量が大きいことがわかった。その理由を両相の構造の違いから以下に考察する。立方晶は密な構造をしているため、リチウムは内部まで侵入できない。したがって、結晶内部のスズは反応に使われにくいと思われる。他方、斜方晶はリチウムの侵入する空間が大きいため、結晶内部まで侵入しやすく、内部のスズも反応に関与できると考えられる。これらのことから、より多くのスズと反応できる斜方晶Mg_2Snの方が、より大きな容量をもつことができたと推察した。なお、立方晶電極についてなされた充放電サイクル前後のX線回折測定の結果から、斜方晶電極より多くの充放電サイクルを経た後の電極においても、母体化合物の構造が維持されていることが示された。このことは、立方晶が斜方晶と比較してリチウムとの反応性に乏しいことを強く裏付けるものである。斜方晶Mg_2Sn電極の充放電サイクル試験を様々な電位幅のもとで行った。容量を多少犠牲にするものの、電位が0.0Vに達する前に充電(リチウム挿入)を停止することが、サイクル特性の改善に有効であることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Sakaguchi, K.Hatakeyama, S.Kobayashi, T.Esaka: "Hydrogenation Characteristics of the Proton Conducting Oxide -Hydrogen Storage Alloy Composite"Mater. Res. Bull.. 37. 1547-1556 (2002)
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[Publications] H.Honda, H.Sakaguchi, Y.Fukuda, T.Esaka: "Anode Behaviors of Aluminum Antimony Synthesized by Mechanical Alloying for Lithium Secondary Battery"Mater. Res. Bull.. 38. 647-656 (2003)
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[Publications] H.Sakaguchi, Y.Satake, K.Hatakeyama, S.Fujine, K.Yoneda, M.Matsubayashi, T.Esaka: "Analysis of Hydrogen Distribution in Hydrogen Storage Alloy Using Neutron Radiography"J. Alloys & Comp.. (印刷中).