2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13650891
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
塩野 剛司 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (30178850)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩見 治久 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 講師 (60215952)
|
Keywords | メカノケミストリー / 粉砕 / NMR / 微分末 / 硬化体 / 強度 / 水ガラス / 熱処理 |
Research Abstract |
昨年度の研究で水ガラスと水酸化アルミニウムとの反応を利用して無機硬化体を合成するためには,水酸化アルミニウムに強い機械的応力を加えメカノケミカル現象を引き出すことが有効であり,その硬化現象は水ガラスへのアルミニウムイオンの溶出,さらにそのイオンによる水ガラスのポリメリゼーションの促進に起因していることが明らかになった.その過程で水酸化アルミニウムの反応性の向上にはアルミニウムの低配位状態が重要な役割を果たしていることが立証でき,水酸化アルミニウムの活性化機構も分かった. 本年度は,これらの結果に基づいて,より実用可能な材料あるいはプロセスを開発するために,メカノケミカル処理の前に新たに熱処理を組み合わせることを提案し,工学としての本研究の可能性を検討した. 粉砕前の熱処理が水酸化アルミニウムの脱水反応を促進させ,それに伴い粉体の多孔質化が起こり,短時間のメカノケミカル処理で非晶質化を発生させることが可能になり,より低エネルギーの粉砕処理でも粉体を活性化できることが明らかになった.この活性化された粉体を用いて作製した無機硬化体の曲げ強度,圧縮強度,耐水性は,通常のモルタルに比べ優れた特性を示した.さらに,このプロセスを天然鉱物であるカオリナイトに適用することによって,より優れた特性を持った硬化体を作製することができ,実用部材として十分に使用できることが明らかになった.本研究を通して,メカノケミカル処理によって起こる固体中の物理・化学的変化が周囲の気体・液体・固体との相互作用を促進して,従来,極限状態だけでしか起こらなかった現象を容易に起こさせ,化学反応を著しく促進させることが明らかになった.すなわち,カノケミカルプロセスが材料設計や粉体合成に有効であることが認められ,メカノケミカルプロセスを単に粉砕処理ととらえるだけではなく,粉体自身に機能性を持たせることの出来るプロセスとして,今後の材料開発に応用できるという知見を得たことは本研究の大きな成果である.
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Takeshi Shiono: "Mg E-Edge XANES Study of Crystallization MgAL_2O_4 Spinel Prepared from A Mixture Al(OH)_3 Mg(OH)_2 Activated Mechanically by Wet Milling"UVSOR Activity Report 2001. 192-193 (2002)
-
[Publications] 金山雅巳: "炭化ケイ素ウイスカー強化型窒化ケイ素セラミックスに生じる破面間相互作用"日本セラミックス協会学術論文誌. 110・1. 32-37 (2002)
-
[Publications] 塩見治久: "炭酸ガス処理によるCaSiO_3の固化に及ぼすメカノケミカル処理の効果"材料. 51・6. 610-616 (2002)
-
[Publications] 豊田啓光: "ガラスセラミックス/金属複合材料の作製と破壊抵抗性の評価"材料. 51・12. 1392-1399 (2002)
-
[Publications] 塩見治久: "CO_2処理によるCaSiO_3の固化機構"材料. 52・6(掲載決定). (2003)
-
[Publications] 松村 優: "木炭を出発原料とした炭化ケイ素セラミックスの作製"材料. 52・6(掲載決定). (2003)