2002 Fiscal Year Annual Research Report
分子キラリティーを見分ける大環状多座配位子の設計と認識能
Project/Area Number |
13650903
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中辻 洋司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00127268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木田 敏之 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20234297)
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Keywords | 分子認識 / キラルクラウンエーテル / 錯形成 |
Research Abstract |
キラルな2,12-ビス(ヒドロキシメチル)-2,12-ジメチル-18-クラウン-6(1)はその水酸基の反応性を利用して新しい構造を有する新規キラルホスト分子へと誘導できる重要な鍵化合物であるが、そのためには当該クラウンエーテルを大量に得る合成法の確立が望まれる。従来法であるクラウン環形成後に光学分割する方法は、光学分割の段階のスケルアップに問題点が残されていた。これに対して、キラルクラウン環構築の重要な合成ユニットとなる2,2,4-トリメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノ-ル(2)の光学分割は比較的容易で大量に行えることから、これを原料として当該化合物を得る別途合成法の開発ルートを前年度に開拓した。前年度の方法では光学分割して得た(S)-2をアリル基で保護したが、この場合には、アリル基の脱保護過程の収率が20%と低かった。今回、アリル基をベンジル基に変えることにより脱保護過程が定量的に行えることがわかった。これにより当該クラウンエーテルの大量合成が可能となった。また本方法はクラウン環形成後に光学分割する方法とは異なり、さまざまなクラウン環構造をもつ反応性クラウンエーテルの合成にも適用可能である。 またキラルクラウンジオール(1)を鍵化合物として塩基存在下でトシル化し、さらにフェノール、α-あるはβ-ナフトールなどと反応させてさまざまな側鎖を導入することにより新規キラルホスト分子へと誘導した。NMR滴定法により、(R)-または(S)-フェニルエチルアミン過塩素酸塩、α-(1-ナフチル)エチルアミン過塩素酸塩、フェニルグリシノール過塩素酸塩をゲストに用いてキラル識別能を調べたところ、それぞれホスト分子の構造に特徴的なキラル認識能を示すことが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nakatsuji, Yohji: "Synthesis and Complexation Ability of a C-Pivot Type of Double-armed 15-Crown-5 Ethers toward Alkali Metal Cations"Bulletin of the Chemical Society of Japan. 75・8. 1765-1770 (2002)
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[Publications] Nakahara, Yoshio: "Fluorometric Sensing of Alkaline Earth Metal Cations by New Lariat Ethers Having Plural Pyrenylmethyl Groups on the Electron-donating Sidearms"Organic Letters. 4・16. 2641-2644 (2002)